京大発スタートアップのFLOSFIAは、酸化ガリウムパワー半導体において、6インチサファイア基板上でのエピタキシャル成膜に成功した。
京大発スタートアップであるFLOSFIAは2026年10月13日、同社によれば世界で初めて実用化を進める酸化ガリウム(α-Ga2O3)パワー半導体において、6インチ(150mm)サファイア基板上でのエピタキシャル成膜に成功し、膜厚の面内ばらつき約±3%を達成したと発表した。
パワー半導体産業では、ウエハー口径の拡大により1枚当たりのチップ取得数を増やし、製造コストを下げる取り組みが進んでいる。SiCでは6インチが量産の主流で、一部のメーカーでは8インチへの移行が始まっている。シリコン(Si)系パワー半導体では8インチ(一部12インチ)のラインが主流だ。新材料がパワー半導体メーカーに採用されるには、こうした既存の量産ラインに適合できることが重要な条件となる。
そこで同社は、「ミストドライ法」に改良を加え、6インチサファイア基板上にα-Ga2O3エピタキシャル膜を成膜した。膜厚の面内ばらつきは約±3%で、初期実用化レベルの目標としていた±4%以下を達成。クラックがなく、異物欠陥の少ない良好な膜が得られている。
加えて、3インチ、4インチ、6インチで膜厚の面内ばらつきを比較したところ、口径が大きくなるほどばらつきは増えるものの、その増え方は緩やかになる傾向を確認した。この傾向から、8インチ(200mm)でも面内ばらつきを±4%以下に抑えられる見込みだ。
6インチ化により1枚のウエハーから取得できるチップ数は4インチの約2.2倍(面積比)となり、エピタキシャル成膜だけでなくデバイス前工程全体でチップ当たりの製造コストが下がる。
また、6インチサファイア基板はLED産業向けに大量に流通しており、安価かつ安定的に調達できる。既存の6インチラインを持つSiCや窒化ガリウム(GaN)-LEDのメーカーであれば、設備投資済みの前工程装置を使えるため、新規投資を抑えて早期の量産立ち上げが可能だ。
同社は「MOSFETの性能実証」と「エピタキシャル成膜の大口径化」を社会実装の両輪と位置付けており、今回の成果により大口径化が着実に前進した。
今後は、2026年中に8インチサファイア基板上での成膜実証を進めるとともに、大口径成膜で得た知見をMOSFETをはじめとするGaOパワーデバイスの開発とパートナーとの量産プロセス構築に生かす。併せて、技術資産のライセンス提供やエピタキシャルウエハーの供給を通じてパートナーシップを広げ、電気自動車(EV)やAIデータセンター向け電源などへの早期の社会実装を目指す。
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