日本HPは、法人向けモバイルAIワークステーション「HP ZBook Ultra G3a 16 inch」を発売した。「AMD Ryzen AI MAX PRO 400シリーズ」と最大192GBのユニファイドメモリにより、LLMのローカル実行に対応。最大100WのTDPを支える新冷却設計を採用するとともに、AutodeskやPerplexityとの協業を通じて設計業務でのAI活用を後押しする。
日本HPは2026年10月7日、年次イベント「HP Future of Work AI Conference 2026」に併せて説明会を開催し、法人向けモバイルAI(人工知能)ワークステーション「HP ZBook Ultra G3a 16 inch」を発表した。同日から販売を開始し、希望販売価格(税込み)は63万9100円からとなる。
HP ZBook Ultra G3a 16 inchは、CAD/CAEやビジュアライゼーションなどのプロフェッショナル業務と、大規模AIモデルやAIエージェントのローカル実行に対応する16型モバイルワークステーションだ。HPとAMDが共同開発し、最小構成時で約1.9kg、最大厚さ18.4mmの筐体に、設計/開発/分析業務を支える処理能力を備えた。
製品の中核を担うのが、CPU/GPU/NPU(Neural Processing Unit)を1チップに内蔵するAMD製のSoC(System on Chip)「Ryzen AI MAX PRO 400シリーズ」である。
日本HP パーソナルシステムズ事業本部 ACSビジネス本部 プロダクトマネージャの中山智之氏は「通常のRyzenプロセッサと大きく異なるのは、GPU性能が非常に高い点だ。ディスクリートのグラフィックスカードにおけるミッドレンジクラスの性能が、1チップのSoC上に載っている」と説明する。
HP ZBook Ultra G3a 16 inchは、Ryzen AI MAX PRO 400シリーズの採用により、グラフィックス処理能力を確保しながら、筐体の小型化/薄型化を図った。メモリ容量も最大192GBに拡大し、ユニファイドメモリのうち最大160GBをVRAMとして割り当てられる。このメモリ構成により、LLM(大規模言語モデル)をメモリ上に読み込んで処理し、INT4(4ビット整数)で最大3000億パラメーターのモデルをローカル実行できるという。なお、192GBメモリ搭載構成の販売開始は2026年12月の予定だ。
オンデバイスでのAI処理により、クラウドへの依存度や推論コストの抑制を図る。設計や開発、分析などの業務で、時間や場所にとらわれないAIの実行環境を提供するという。
プロセッサは「Ryzen AI Max PRO 485」「Ryzen AI Max PRO 490」「Ryzen AI Max+ PRO 495」の3種類を用意した。最上位のRyzen AI Max+ PRO 495は16コア/32スレッドで、内蔵GPUに「AMD Radeon 8065Sグラフィックス」を採用し、NPU性能は最大55TOPSとなる。
HP ZBook Ultra G3a 16 inchでは、高負荷時にもプロセッサの性能を引き出せるよう、新たな冷却設計「ダイナミックマックスエアフロー」を採用した。従来の14型モデル「HP ZBook Ultra G1a」の最大TDP(熱設計電力)が55Wだったのに対し、新製品では最大100Wに対応している。
ダイナミックマックスエアフローは、2基のファンを中央寄りに配置し、取り込んだ空気の圧力を高めて、背面のヒートシンクや冷却ユニットへ送り込む構造だ。新しいヒンジ設計で空気の流れを確保するとともに、熱を広く分散させる大型ベイパーチャンバーを組み合わせた。この冷却設計により、従来比で温度を4〜6℃程度下げる効果があるという。
中山氏は「単にTDP100Wに対応するだけではない。モバイル製品で100Wまで引き上げると、キーボード面が非常に熱くなり、ユーザーが不快に感じてしまう。熱い空気を逃がし、より快適に使用できる冷却設計となっている」と語る。
外出先での利用に向けて、96Whのバッテリーを搭載する他、ACアダプターにはGaN(窒化ガリウム)を採用し、高出力と小型化を両立している。Ryzen AI Max PRO 485搭載モデルには140W、Ryzen AI Max PRO 490およびRyzen AI Max+ PRO 495搭載モデルには180Wのアダプターが付属する。140Wアダプターはコンセントに直接差し込むウォールマウント型で、180Wアダプターは電源ケーブルでコンセントに接続するタイプだ。
通信機能では、Wi-Fi 7に加え、5G通信に対応するWWAN搭載構成も用意した。
ローカルAIの実行を支えるハードウェアに加え、プロフェッショナル業務でAIを活用するための支援も進める。HP、Autodesk、Perplexityの3社協業による取り組みとして、HP ZBook Ultra G3a 16 inchにはAIツール「Perplexity」の1カ月無料体験と5000クレジットをバンドルした。
例えば、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」とPerplexityを組み合わせることで、建築/土木の設計業務において、設計データ内の必要な箇所を検索したり、データを出力したりする作業を自然言語で行えるようになるという。
中山氏は「これまでAIというと、どこで使われているのか分かりにくい印象があった。前モデルのHP ZBook Ultra G1aからAMDとともに取り組む中で、エンジニアリング領域でも具体的なユースケースが確立されてきた」と述べる。
その他、主要ソフトウェアのISV認証も取得し、設計/ビジュアライゼーション業務に対応する。セキュリティ機能として「HP Wolf Security for Business」を搭載。長期利用に向けた保守性にも配慮し、IT部門が約10分でキーボードを交換できるトップマウント構造を採用することで、業務停止時間(ダウンタイム)の最小化を図っている。
HP ZBook Ultra G3a 16 inchの発売記念として、ヘッドセット「Poly Voyager 4320 UC」のUSB-Aタイプ(Microsoft Teams認定モデル)をバンドルしたキャンペーンモデルも台数限定で販売する。キャンペーン価格(税込み)は57万5300円からとなる。
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