横浜国立大学とKOKUSAI ELECTRICは、原子層堆積法で作製した酸化アルミニウム薄膜が、プラズマ処理をせずに直接接合できる自己活性化特性を持つことを発見した。プラズマ工程を省略することで、接合装置構成の簡素化や製造コストの低減などが期待される。
横浜国立大学とKOKUSAI ELECTRICは2026年9月15日、原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD)で作製した酸化アルミニウム(Al2O3)薄膜が、プラズマ処理や化学的研磨をせずに直接接合できる自己活性化特性を持つことを発見したと発表した。
半導体デバイスを垂直方向に積層する3次元集積技術では、異なるウエハーやチップを密着させる直接接合やハイブリッド接合が重要となる。従来は、酸化膜同士を十分な強度で接合するためには、接合直前にプラズマを照射し、表面を活性化させる工程が不可欠だった。しかし、プラズマ処理は表面下へのプラズマ損傷(Plasma Induced Damage:PID)や過剰な水分の導入を引き起こす場合があり、またプラズマ処理後から接合までの待機時間を厳密に管理する必要もあった。
今回の研究では、厚さ約5nmのALD-Al2O3薄膜を300mmのシリコンウエハー上に作製。プラズマ処理をせずに直接接合したところ、接合界面全体でボイドのない接合を形成した。300℃の熱処理後も、ウエハーの研削や化学機械研磨(CMP)などの後工程に耐え得る接合強度を獲得した。また、成膜後の適切な熱処理や酸化シリコン(SiO2)層を挿入して界面の水分を制御し、接合強度を向上させることができた。
ALD-Al2O3自己活性化接合のウエハースケール品質と加工耐性。(a)プラズマレスで進展するボンドウェーブ、(b)ボイドフリー接合、(c)原子レベルで一体化した界面、(d)10μmまでの薄化に耐える高強度、高均一接合[クリックで拡大] 出所:横浜国立大学表面と接合界面を詳細に解析したところ、Al2O3表面に形成された水酸基(OH)のネットワークが室温での初期接着を可能にすることが分かった。さらに接合後の熱処理で、OHの脱水縮合反応や低温で形成された非晶質AlOX構造のAl-O結合ネットワークへの再配列が、強固な接合の形成に寄与することが示唆された。
ALD-Al2O3の接合性能は、成膜後少なくとも2カ月間ほぼ一定に保たれることを確認。自己活性化はAl2O3材料の極性や構造に由来することから、長期間にわたって接合可能な状態が維持されると考えられる。
プラズマ工程の省略が可能になることで、接合装置構成の簡素化や製造コストの低減、プラズマによる材料損傷の回避などが期待される。今後は、銅配線を含むハイブリッド接合への適用や新たな自己活性化材料の探索を進める。
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