NTTコミュニケーションズが陸上養殖、ICTで効率化し地域の産業にスマートアグリ(2/3 ページ)

» 2024年12月05日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

漁業への参入ハードルを下げる

 陸上養殖は漁業権が不要なため参入しやすく、ICTによって経験不足を補いながら効率よく多くの魚を養殖することが期待できるという。さらに、海に出ることに比べて危険が少ないため、経験の浅い若者や女性、高齢者でも働きやすい。海での養殖の場合、海水温の上昇や台風の影響などで安定生産が難しい。陸上養殖は外部環境の影響が少ないこともメリットだ。また、廃校など地域の未利用施設を有効活用することにもつながるとしている。

 NTTコミュニケーションズの陸上養殖向けICTプラットフォームは、水槽の水質や水温、装置の稼働状況をまとめたダッシュボードだ。NTTドコモが2017年から提供している海洋観測サービス「ICTブイ」のノウハウを基に、水温や酸素、塩分濃度、pHなどをセンサーで取得できる。養殖する魚種に応じてNTTアクアが閾値を設定して養殖事業者に提供する。水質や水温などを管理することで、病気も抑制できる。これらの情報は簡単な操作で確認できる。

 プラットフォーム上の情報はNTTアクアが一元管理する。閾値を超えた場合にメールなどで通知し、異常時は遠隔地からリアルタイムでサポートする。水槽の上や水中にカメラを設置し、遠隔で様子を見ることも可能だ。

ダッシュボードのイメージ[クリックで拡大]
遠隔地にいてもカメラでも魚の様子を確認できる[クリックで拡大] 出所:NTTアクア

 今後は、対象魚類であるハタ類の種苗や魚種に最適な餌の提供なども行い、出荷までをトータルでサポートするサービスも提供予定だ。また、NTTグループ内の関連企業と連携して新たなサプライチェーンを構築することで、水産業の効率化や付加価値向上を図る。

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