日本企業の海外事業展開を有利にする、デジタルマーケティング3つの活用方法間違いだらけの製造業デジタルマーケティング(15)(2/3 ページ)

» 2024年06月17日 07時00分 公開

海外向けデジタルマーケティングの方法

 次に、本記事のテーマである海外向けデジタルマーケティングの具体的な活用方法を紹介する。今回は代表的な例として、以下の3つの活用方法を紹介する。

  1. 新規顧客の開拓
  2. 特定の企業にアプローチ
  3. テストマーケティング

(1)新規顧客の開拓

 1つ目は、デジタルマーケティングを活用し、海外の新規顧客を開拓する方法である。海外ではこのような目的の活動を“Demand Generation”(需要喚起)と表現する。

 新規顧客を開拓するには、顧客の購買プロセスの初期段階から購買決定までに使用するあらゆる媒体で顧客と接点を持つ必要がある。デジタルマーケティングは、接点を持つという点で優れた手法であるといえる。

 複数の調査会社の資料によると、B2Bバイヤーが購買プロセスでよく利用する主なデジタル媒体には以下のようなものがある。

  • サプライヤー/ベンダーのWebサイト
  • 検索エンジン
  • 業界Webサイト
  • 動画共有サイト
  • 業界ウェビナー

 デジタルマーケティングを実践することにより、これらの媒体を使用するユーザーに対して、自社を認知させることができる。

 また近年は特に、B2Bバイヤーは情報収集段階だけでなく、サプライヤーの選定時にもデジタル媒体を積極的に活用する傾向がある。この傾向は、自国以外のサプライヤーを選定する上で顕著である。従って、デジタルマーケティングは、海外の見込み客に自社を認知させ、購買先として検討してもらうために、有効な手法であるといえるだろう。

(2)特定の企業にアプローチ

 B2B分野でも、商材によっては見込み客が特定の業界の企業に限られる場合がある。このようなB2B商材を海外展開する場合でも、デジタルマーケティングが活用できる。

 具体的には“Account Based Marketing”(アカウントベースドマーケティング)と呼ばれる手法が有効だ。この手法を活用することで、ターゲットとする具体的な企業名を絞り込んだ上で、特定の顧客だけにマーケティング活動を展開できる。従来の営業活動でも業界イベントや業界紙に広告を出稿することで、ターゲットを絞り込んだマーケティングは実現できたが、デジタルマーケティングは、その活動をより高い精度で実現する。

(3)テストマーケティング

 海外展開を検討する場合、市場の反応を評価する際にもデジタルマーケティングが有効である。自社の商材がどの地域で需要があるのか、どのような訴求方法が良いのか、どういった媒体の費用対効果が高いのかなど、本格的なマーケティング活動を開始する前にテストマーケティングを行うことで、失敗のリスクを軽減できる。

 例えば、海外の複数地域の中から反応の良い地域を特定したい場合、商材に関するWebページを複数言語で作成し、複数の国に分けて広告を配信する。その結果を比較することで、自社商材に高い需要が見込める地域を把握できる。

 このように、確認したいポイントに合わせて適切な手法を選択することで、効果的なテストマーケティングの実施が可能だ。

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