さて、今週大きく話題になったのは、英国の「脱エンジン車延期」のニュースではないでしょうか。これまで英国ではガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の新車販売禁止の時期を2030年としてきましたが、これを2035年に先送りすると表明しました。
1週間お疲れさまでした。先日、ラジオから「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザだけでなく、はやり目などさまざまな感染症が流行している」と流れてきました。子どもの学校で学年/学級閉鎖になったという人もいます。うがい手洗い、換気、必要に応じたマスクなど、粛々と防衛したいですね。
さて、今週大きく話題になったのは、英国の「脱エンジン車延期」のニュースではないでしょうか。
これまで英国ではガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の新車販売禁止の時期を2030年としてきましたが、これを2035年に先送りすると英国の首相リシ・スナク氏が「ネットゼロに向けた新しいアプローチ」のスピーチの中で9月20日に表明しました。EV(電気自動車)の初期費用がまだ高いことを理由に挙げています。
ちなみに、英国の電動車シフトは順調です。2023年のパワートレイン/燃料別のシェアを見ると、ガソリンエンジン車のシェアが圧倒的に高いことは事実ですが、EVの他、ガソリンのマイルドハイブリッド車やHEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)が大きな伸びを示しています。EVやPHEVに対する購入補助が2022年6月に終了したにもかかわらず好調を維持しています。
スナク氏は、これ以外にも「ネットゼロに向けて、導入をやめる強引な手段」としてお肉への課税、飛行機に乗らないようにするための新しい税金、ごみの分別強化、カーシェアリングの強制、高額な断熱材へのアップグレードなどを挙げました。また、高価なヒートポンプに切り替えるために古いボイラーの使用を禁じない、とも説明しました。ヒートポンプの初期費用が1万ポンド(約180万円!)になる場合もあるためだそうです。
一方、ドイツでは新規の暖房システムでエネルギーの65%以上を再生可能エネルギーでまかなうことを義務付ける法案を可決しました。2024年1月以降に設置される暖房が対象で、化石燃料だけを使用する暖房の新設が実質的に禁止されるとのこと。燃料を使う暖房はエアコンと比べてとても暖かく、寒い国では不可欠だと思うのですが……。
生活がガラッと変わる、それも大きな制約が課される変化は身構えてしまいます。生活に口出しされるのが面白くないという側面は大なり小なりありますが、明らかに不便になったり、費用の捻出が難しいことを要求されたりするのは理不尽です。
英国のようにハードな規制を先送り/後ろ倒しする例はこれからも増えるのでしょうか? だとしても、「ゴールを動かした」と批判しないようにしたいですね。英国の例でいえば電動車が普及していることは事実で、それによる環境への貢献がなかったことになるわけではないからです。
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