アプリケーションのローコード開発プラットフォームを展開するMendixは新バージョンである「Mendix10」の機能を発表した。
アプリケーションのローコード開発プラットフォームを展開するMendixは2023年9月7日、新バージョンである「Mendix10」の機能を紹介する発表会を開催した。バックグラウンドの異なるユーザー間でもよりコラボレーションを容易にするための機能や、他システムとの連携を強化する機能などを追加する。
Mendixはシーメンス傘下の企業で、アプリケーションソフトウェアの計画から開発、テスト、実装、フィードバックといったライフサイクル全体の管理を実現するローコード開発プラットフォーム「Mendix」(社名と同じ名称)を提供する。ポートフォリオマネジメント機能で開発したアプリケーションを一元管理して、開発プロジェクトの優先順位付けや予算管理なども行える。
今回発表したMendix10では、誰もがアプリケーション開発に携われるようにする機能を強化する。ビジネスやソフトウェア開発の専門家、UI/UXデザイナーに加えて、アプリケーション開発の専門知識を持たないユーザーも単一のプラットフォーム上でさらにコラボレーションしやすくすることを目指した。
具体的にはデータなどを記録したスプレッドシートを基にアプリケーションを開発できる機能や、ビジュアル操作を組み合わせることでクエリを作成できる機能などを追加した。開発中のアプリケーションのパフォーマンスやセキュリティに関する改善案を自動提案するBOT機能も利用可能だ。この他、画面操作UIの関連では幾つかのアイコンの変更やダークモードの追加などを行った。また、今後のアップデートで対応可能なOSの種類を拡張し、Windowsに加えてMacも追加する計画だという。
また、もう1つの特徴として、システム間連携を推進するコンポーザビリティの強化を図っている。CRMやERPなどの基幹システムに加えて、各種データベースや電子メール、Excelなどのアプリケーションとのコネクターを追加した。クラウド基盤であるAWSの各種アプリケーションとの連携も可能にする。外部エンティティや外部アクションをカタログ上で管理、参照しながら接続の仕組みを構築でき、イベントドリブンでのシステム間連携を実現できる。
アプリケーションの実装時には自社の状況に合わせて、AWSなどのサービスをベースにMendixが管理するクラウド環境や、オンプレミス環境などを選択できる。さらに、特定地域のクラウドサーバが何らかの事情で稼働停止した場合に、別地域のサーバへと自動的にフェイルオーバーする新機能も搭載した。サーバのバックアップも高速化しており、加えて、稼働中のアプリケーションの状況を一元的に監視できるダッシュボードも追加する。これらの機能は2023年12月末までに実装される予定だ。
またMendixには、AIを活用したアプリケーション開発支援や、機械学習開発を支援してアプリケーション自体の性能向上に役立てる機能があるが、こうした機能を今後さらに強化し、新機能も追加していく予定だ。OpenAIが提供する「ChatGPT」を活用して開発プロジェクトに関する質問応答などを行うアシスタントシステムなどの追加も計画している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.