特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2022年08月31日 06時30分 公開

インダストリー4.0は成果が「ケチャップドバドバ」へ、シーメンスのデジタル戦略製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

ドイツのSiemens(シーメンス)は2022年8月30日、デジタル戦略について説明し、同社が展開するさまざまなソフトウェアを統合した開発ポートフォリオ「Xcelerator」により、製造業のデジタル革新を牽引(けんいん)する方針を示した。

[三島一孝MONOist]

 ドイツのSiemens(シーメンス)は2022年8月30日、デジタル戦略について説明し、同社が展開するさまざまなソフトウェアを統合した開発ポートフォリオ「Xcelerator」により、製造業のデジタル革新を牽引(けんいん)する方針を示した。

製造業を取り巻く課題“3つのC”

 シーメンス 取締役でデジタルインダストリーズCEOのCedrik Neike(セドリック・ナイケ)氏は現在の製造業を取り巻く環境について「“3つのC”という課題に直面している」と語る。“3つのC”は「地球温暖化問題(Climate)」「新型コロナウイルス感染症(Covid)」「紛争(Coflict)」を指す。

photo シーメンス 取締役でデジタルインダストリーズCEOのセドリック・ナイケ氏

 ナイケ氏は「これらの問題は製造業にも大きな影響をもたらしている。気候変動の問題については、製造業にも多くの役割が求められている他、コロナ禍やウクライナでの戦争の影響ではサプライチェーンの混乱によるさまざまな影響が生まれている。世界的な経済の動きに対し、柔軟性がないと対応できなくなってきている」と語る。

 これらを状況を打破するため、さまざまな形でのイノベーションが期待されている。ただ、イノベーションの起こし方は従来と大きく変化している。「従来は材料技術の開発などでイノベーションを起こしてきたが、今はデジタルとリアルの2つの面を考えていかなければならない。これらをいかにつなぐかという考えが重要だ」とナイケ氏は考えを述べる。

 モノづくりにおいて、このデジタルとリアルの連携にシーメンスは10年以上積極的に取り組んできた。もともとオートメーション機器の世界的な大手であり、リアルな世界でさまざまな情報を取得し扱える立場にあった。これに加え、約15年前から産業用ソフトウェア企業の買収を強化しポートフォリオの拡充を図っている。2007年に米国UGSを買収したことを皮切りに、これまでに100億ユーロ以上の投資を行っている。

photo シーメンスのリアルとデジタルのポートフォリオの拡張[クリックで拡大] 出所:シーメンス

ケチャップのようにインダストリー4.0の成果が生まれ始めた

 これにより実現を目指したのが「インダストリー4.0」の世界である。インダストリー4.0は、ドイツが2011年に提唱した産業革新プロジェクトで、サイバーフィジカルシステム(CPS)により、コンピューティングパワーやデータを活用することでより、現実世界を効率化し新たな価値創出を実現するというコンセプトで進められている。当初から2035年をターゲットに長期的視野で進められてきたものだが「ここまでは大きな成果が出てきていなかった」とナイケ氏は今までの停滞を認めている。

photo ケチャップのように急に成果が出始めたインダストリー4.0。ナイケ氏は「日本はしょうゆのようにさらさらと成果が出ると信じている」と語っていた 出所:シーメンス

 ただ、コロナ禍以降は数多くの成果が出てき始めたとし、ナイケ氏はその様子をケチャップに例えた。「底をたたいてもなかなか出ないケチャップの瓶のように、インダストリー4.0はこれまであまり大きな成功が出てこなかった。それがコロナ禍に入った後の2年はドバっと急に数多くの成果が生まれ始めた。ここ2年の成果はそれまでの10年弱よりも多くの成功を生んでいる」(ナイケ氏)。

 なぜ、急に成果が生まれ始めたのだろうか。その理由についてナイケ氏は、コロナ禍による大きな変化とその対応を挙げる。「コロナ禍によりあらゆる製造業が、大きな変化に翻弄される中、インダストリー4.0のコンセプトを早期に捉えて実装を進めてきている企業と、そうではない企業に、明確に違いが生まれてきたことが大きかった。インダストリー4.0のコンセプトを基にデジタルツイン化を進めてきていた企業では、コロナ禍による急激な変化に対しても、設計から調達、製造までの一連の部門間を円滑に連携させ、製造するモノを数週間で切り替え、需要の変化に対応してきた。ただ、そうではない企業は市場の変化に追従できなかった。そういうことが実際に日常的に身近な問題として見えたことが大きかった」とナイケ氏は述べる。

 これらを背景に、インダストリー4.0のコンセプトの基、製造業のモノづくりにおいてデータを活用し、効率的で柔軟なモノづくりを実現するプラットフォームとしてシーメンスが提供するのが統合開発ポートフォリオの「Xcelerator」である。

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