ソニーグループは2022年5月18日、経営方針説明会を開催し、「人に近づく」を経営方針とした事業運営のここまでの成果を訴えるとともに、新たな成長領域として「メタバース」と「モビリティ」を位置付け、事業創出に取り組んでいく方針を示した。
ソニーグループは2022年5月18日、経営方針説明会を開催し、「人に近づく」を経営方針とした事業運営のここまでの成果を訴えるとともに、新たな成長領域として「メタバース」と「モビリティ」を位置付け、事業創出に取り組んでいく方針を示した。
ソニーグループでは、ゲームやエレクトロニクス製品、デバイス、映画や音楽などのコンテンツ、金融など多彩な事業領域を展開している。これらを統合するコンセプトとして前任の平井一夫時代から「感動」をキーワードとし、それを生み出し支えていくことを根幹に事業展開を進めてきた。さらに、2019年5月の経営方針発表会ではこれらの方向性を再定義し、ソニーグループの存在意義(Purpose)として「Fill the world with emotion, through the power of creativity and technology.(クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす)」を示し、経営の方向性として「人に近づく」を訴えている。
ソニーグループ 会長 兼 社長 CEOの吉田憲一郎氏は「感動を作るのは人であり、感動する主体も人だ。さらにこれらに関わるソニーグループの社員がいる。これらの『人』を軸とした経営に取り組むという意味で、基本的な方針として『人に近づく』を掲げている」と語る。この「人に近づく」を実現するために事業としては、「人の心を動かす事業」「人と人をつなぐ事業」「人を支える事業」の3つの方向性で展開している。
「人の心を動かす事業」として位置付けているのが、エンターテインメントに関係するゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、音楽分野、映画分野の3つの事業分野である。また「人と人をつなぐ事業」が、エレクトロニクス製品などを含むエンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野と、CMOSイメージセンサーなどを展開するイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野となる。「人を支える事業」は、金融分野や新規開拓を進めるメディカル分野などを示す。
これらの中で特に大きな成長率を示しているのが、「人の心を動かす事業」として位置付けている3分野だ。吉田氏は「これらの事業では、ソニーグループとして10億人のユーザーと直接つながることを目指すビジョンを掲げている。直接つながるのはユーザーから直接学びを得ることが動機だ。基本的には感動そのものを作り出すクリエイターとの結び付きを強化しコンテンツIPを拡大していく。さらに、これらを届けるDirect-to-Consumer(DTC)サービスでは、自社での展開と共に、パートナーとの連携を広げていく考えだ」と語っている。
G&NS分野では、家庭用ゲーム機「PlayStation 4(PS4)」の合計販売台数は1億1700万台以上、「PlayStation 5(PS5)」は1900万台以上となっており、PS5については部材不足はあるものの2022年度は1800万台の販売を計画。着実にプラットフォームとして広がりを見せている。
さらに、ネットワークサービスである「PlayStation Network」の月間アクティブユーザーは2022年3月時点で1億アカウント以上となっている。ネットワーク経由の売り上げも2021年度は2017年度比で約1.8倍に成長するなど、リカーリングビジネスとして大きな成長を遂げている。
コンテンツIP強化にも積極的に取り組み、自社スタジオでの開発力強化を進める他、サードパーティースタジオとの連携強化やM&Aを推進。その中でもライブサービスの強化を進めるための大きなカギと捉えているのが2022年2月に買収を発表した米国Bungieの買収だ。「ユーザーに直接つながりその反応を基にサービスを作り出していくライブサービスの展開でBungieは優れており、ライブサービスの起爆剤となる」と吉田氏は期待を寄せる。
その他、音楽事業や映画事業では、クリエイターを支えることを徹底強化し、レーベルの買収などを進める他、配信などを行うプラットフォームとの連携や買収などを進めている。
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