ここまでで、日本企業のグローバル化は、他の先進国と比べると、流入が特に少なく、流出一方に偏った特殊な状況であることが見えつつあります。念のため、流出に対する流入の割合も確認してみましょう。図10が流出に対する流入の割合をグラフ化したものです。
スロバキアやハンガリーなど発展中の国は、極端に流入が多い状態ですので特に大きな数値となっています。ただ、カナダが207.7%、イギリスが131.1%と流出より流入の方が多い状況になっています。イタリア、ドイツ、米国も70%前後ですので流出と流入が双方向で多く生まれていることが分かります。
こうしてみると、日本だけが9.9%と、流入が流出の10分の1未満という「一方的なグローバル化」が進んでいることになります。
では、売上高だけでなく、現地雇用者数でも確認してみましょう。図11が現地雇用者数の流出に対する流入の割合です。
ハンガリー、ポーランドなどは大きく流入の超過、カナダ、イギリスは100%前後で同程度、ドイツ、イタリア、米国は50%前後で双方向的であることが分かります。数値の前後はあれど、おおむね売上高の比率と似た傾向を示しているといえるでしょう。
ただ、こうした中で日本は3.7%と極端に低い水準となっています。これは、日本企業が海外現地法人で雇用している人員(約400万人)に対して、海外企業が日本で雇用している日本人が3.7%の割合でしかないということを示しています。このように、他国では流入超過や双方向的な企業のグローバル化が進む中で、日本だけが流出に偏ったグローバル化が進んでいることになります。
こうした状況は、厳密にいえばルクセンブルクやスイスも近い状態にあるものの、経済規模を考慮すると日本の置かれている状況は特殊です。「日本型グローバリズム」とも言うべき、日本特有の状況に置かれているといえるでしょう。
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