A6は、動作電力、待機電力、ピーク電力の全てを抑えることで、より省電力の電力自給型ゲートウェイを実現できる。省電力化によって、太陽光パネルやバッテリーなどもより小型かつ安価なものを選定できるのでシステムコストも抑制することが可能だ。省電力を実現するために、NXPセミコンダクターの省電力プロセッサ「i.MX6ULL」と、タレスDISのLTE-Mモジュール「EMS31-J」を採用するとともに、組み込むソフトウェアを最適化し、用途に合わせて電力消費の削減を図れるように動作モードを複数用意した。
動作モードは、CPU、LTEモジュールとも停止する「Shutdown」、CPUのみが待機状態になる「Sleep」、CPUとLTEモジュールの両方が待機状態となりSMS(ショートメッセージ)を起動トリガーにできる「Sleep(SMS)」、CPUが動作してLTEモジュールが待機状態の「Active」、CPUもLTEモジュール動作する「Active+LTE」の5種類。消費電力は、Shutdown時で1mW、Sleep時で100mW、Sleep(SMS)時で230mW、Active時で850mW、Active+LTE時で最大1950mW。實吉氏は「競合他社のゲートウェイと比べても、各動作モードで大幅に消費電力が抑えられている」と強調する。また、起動時間についても、Shutdownからで10秒、SleepとSleep(SMS)からで1秒となっており、先述の河川における2分間隔の計測とデータ送信が求められる場合にも、常時動作せずに電力消費を抑えられるとしている。
A6の詳細な仕様は以下の通り。メモリ容量はRAMが512MB(DDR-3L-800)、ストレージが3.8GB(eMMC、SLCとして利用)、LTE-Mの通信速度はダウンリンクが300kbps、アップリンクが375kbps、対応バンドは1/8/18/19/26で、NTTドコモとKDDIのサービスに対応している。インタフェースとしては、LANとUSB2.0×2、microSDスロット×1があり、ボード型のU1モデルは2.54mmピッチの15ピンコネクターを使ってGPIOやUART、I2C、SPIなどを利用できる。ボックス型のC1モデルの筐体サイズは83.0×58.0×24.3mm。動作温度範囲はU1モデルが−20〜70℃、C1モデルが−10〜40℃。
なおアットマークテクノは「【関西】IoT&5Gソリューション展」(2021年1月27〜29日、インテックス大阪)においてA6のデモを披露する。このデモのIoTゲートウェイは、防水ケースに組み込んだA6とバッテリーチャージコントローラー、容量240Whの蓄電池、発電量20Wのソーラーパネルなどから構成されており、水位センサーの計測に用いる仕様で、A6を含めて総額約7万円となっている。この場合、フルチャージからの動作時間は連続動作で5日間、10分間隔の間欠動作で50日間となり「これは電力自給型ゲートウェイとしては少し過剰な性能なので、実運用の際には太陽光パネルやバッテリーでより安価なものを選べるだろう」(實吉氏)としている。
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