日本ものづくりワールド2020(2020年2月26日〜28日、幕張メッセ)の特別講演に本田技術研究所 執行役員 オートモービルセンターデザイン推進担当 デジタルソリューションセンターUX担当の松橋剛氏が登壇。「価値創造におけるホンダのデザイン戦略と、デザイン開発での3D・VR技術活用の取組み」をテーマに、3D CGやVR(仮想現実)技術をフルに活用した研究と開発について、事例を交えて紹介した。
日本ものづくりワールド2020(2020年2月26日〜28日、幕張メッセ)の特別講演に本田技術研究所 執行役員 オートモービルセンターデザイン推進担当 デジタルソリューションセンターUX担当の松橋剛氏が登壇。
「価値創造におけるホンダのデザイン戦略と、デザイン開発での3D・VR技術活用の取組み」をテーマに、3D CGやVR(仮想現実)技術をフルに活用した研究と開発について、事例を交えて紹介した。
ホンダでは、デザインでカスタマーの価値観変化に先駆けて価値を創造するために、イノベーションを起こすことを大切にしている。そのためには、インダストリアルデザイン領域のみならず、ナラティブなUX(ユーザーエクスペリエンス、体験価値)をデザインすることがキーになる。こうして創出したアイデアを早く実装するためには3D・VR技術をフルに活用した研究と開発が重要になっている。
ホンダの事業領域は四輪車、二輪車、航空機、ライフクリエーション(ロボット芝刈機、ハンディタイプ蓄電機等)に広がる。これらの事業に共通する価値観として「生活の役に立つ」「人生を楽しく」があり、この2つをベースにモノづくりを進めてきた。未来の不確実性が高まる時代に、同社では「いかに当初の考えからブレずに便利で夢のある価値を提供できるかが重要だと考えている」(松橋氏)とする。
最近では、ホンダのデザインによって、モノを買った瞬間のうれしさという喜びだけではなく、興味がわき使いたくなるという「期待」の領域、心地よく使いやすいなどの「実感」、満足し、また使いたくなり、自慢したくなるという一連の「経験」という流れをサイクル化していくことをコンセプトとするよう変化してきた。
松橋氏は「ホンダではブランド戦略をほとんど行っておらず、一般ユーザーが持つイメージがブランドとなっている」と語る。ポルシェのフェルディナント・ポルシェやフェラーリのエンツォ・フェラーリのように1人の天才が強力な力でけん引していった企業に対し、ホンダはスタッフ1人1人の個性や夢が人々の共感を刺激し、価値を高める「モノ」や「コト」を愚直に提供し続けているという違いがあるという。
その手段として、クルマだけでなくジェット機のエンジンなど、他のプロダクトにもその幅を広げ、人々から期待される企業となることを目指している。例えばロボットの「ASIMO(アシモ)」など各種のロボットや「Honda 家モビ Concept」も含まれる。Honda 家モビ Conceptは、家の一部がクルマになり、シームレスにつながるということをコンセプトに開発したもので、クルマと家の空間をつなげた設計となっている。クルマから家へ、電力やエンターテインメントを供給するとともに、部屋としても使用可能で、ライフスタイルに合わせて自由に使え、生活の可能性を広げるものだ。
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