現時点での「現場プロセス」事業の中核はファインプロセスだが、中国の投資抑制の影響もあり2019年度の売上高は前年度を大きく下回っている(プロセスオートメーション事業の2019年売上高見込みは前年比で193億円減の1850億円)。シリコンサイクルなどに影響されやすい表面実装機が事業の中核にあり、市場変動の波を大きく受けやすいことが原因の1つになっている。
ファインプロセスの今後の展開では、市場変動の影響を受けにくい事業構造を構築していく必要がある。現場プロセス事業を統括するCNS社 上席副社長の青田広幸氏は「装置の設置の立ち上げや生産性の確保といったサービス、メンテナンスなどの保守ビジネスでしっかり下支えしている。世界で3万数千台のパナソニックの表面実装機が稼働しているが、これを起点に次の提案につなげていく。セルアウト(売り切り)ではダメだ」と述べる。
また、2017年から始まったシーメンスとの提携による、回路形成プロセスにとどまらない形で、同社製のPLCや産業用PCを用いた生産ラインの制御もカバーする事業展開は「かなり好評だ。機器を選ばず、他社の製造設備もインテグレーションできるので、認知度も高まっている」(青田氏)という。
一方、「現場プロセス」事業として今後の成長が期待されているのが「サプライチェーン」だ。しかし、この「サプライチェーン」で目指す、モノをつくる、運ぶ、売るプロセスの革新となると、日立製作所や東芝、NEC、富士通などがIoTやAI、スマート化といった言葉とともに推進している事業と競合するイメージが強い。
樋口氏は「モノを運ぶ、売るといったプロセスは、まだ1つ1つが自動化/適正化されていないのが現状だろう。まず、これら個々のプロセスの自動化/適正化を実現していき、これらのプロセスをつなげて、最終的に経営につながる形での最適化を目指す。そして、この個々のプロセスに入っていくというのは、従来のSIerとは異なるホワイトスペースになるだろう。現時点ではビジョンが先行していてこれからという場面も多いが、そのためにもさまざまなパートナーとの連携が必要になる」と説明する。
青田氏も「IT系のSIerとしての歴史が長い企業は、ERPなどとの連携による計画や実行管理までを対象としたCPS(サイバーフィジカルシステム)の構築を目指している。われわれが手掛けるのは、あくまでこのCPSの基盤となる現場の最適化だ。そういった意味で、IT系のSIerは競合ではなくパートナーになっていく関係だ」と述べている。
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