ドイツのWIBU-SYSTEMSは、2018年末に設立した日本法人を軸に、日本市場向けの取り組みを強化する方針を示した。主に産業オートメーション向けの領域に、同社のデータ保護、ライセンス管理などを実現するコピープロテクションツールである「CodeMeter(コードメーター)」の提案を進めていく。
ドイツのWIBU-SYSTEMS(ウイブシステムズ)は2019年9月24日、2018年末に設立した日本法人を軸に、日本市場向けの取り組みを強化する方針を示した。主に産業オートメーション向けの領域に、同社のデータ保護、ライセンス管理などを実現するコピープロテクションツールである「CodeMeter(コードメーター)」の提案を進めていく。
WIBU-SYSTEMSは1989年にドイツのカールスルーエで創業。産業領域を中心に、実業務の邪魔にならないような形で、ソフトウェア保護やライセンス管理、セキュリティ確保などを行うツールやソリューションを展開している。
「CodeMeter」は同社が展開するコピープロテクションテクノロジー製品で、ソフトウェアとして製品に組み込んで提供する形や、USBデバイスやSDメモリカードに搭載した形など、さまざまな形態で提供されていることが特徴となる。組み込み用のマイコンにも実装可能で、コードサイズは数百KBと小さい。また、Raspberry PiなどさまざまなIoT機器でも活用可能だという。
WIBU-SYSTEMSの共同創業者でCEOであるOliver Winzenried(オリバー・ウィンジェンリート)氏は「ライセンスの方法、使用するデバイスのOSやプロセッサ、ターゲットとするシステム、ビジネスプロセスとの統合などで、幅広い領域をカバーし、それぞれの事業に最適なライセンス管理やセキュリティの在り方を実現できるのがWIBU-SYSTEMSのソリューションの強みである」と語っている。
「CodeMeter」は主に「IP保護」「ライセンス管理」「セキュリティ」などの機能を持つ。基本的な仕組みとしては、セキュアキーストレージとしてハードウェア、ソフトウェアのそれぞれの形態を提供。その中に暗号化技術および暗号化解除技術(AES、ECC、RSA)を組み込み、保護対象を暗号化、乱読化する。これにより偽造版作成を防止し、リバースエンジニアリング攻撃から機器の情報やソースコードなどのIP、機器が生み出すデータなどを守ることができる。
また、これらの保護された情報範囲を規定し、外部のライセンスポータルと組み合わせてライセンス発行を行うことで、個別のライセンス認証を行うことができる。「モノ」から「コト」へのサービス化など、製造業やソフトウェアベンダーでも従来と異なるリカーリングビジネスに注目が集まっているが、ペイパービューやサブスクリプションモデルなどアクセス件の管理が必要な新たなビジネスモデル構築を容易に行うことができる。
さらに、これらを生かし、バックオフィスのERPシステムなどと連携し、個人や役職などに応じた、ライセンス配布や管理、キーと証明書の配布などのライセンシングシステムの構築も行えるという。
ウィンジェンリート氏は「ドイツのインダストリー4.0や日本のSociety5.0など、製造業でもソフトウェアおよびデータを中心としたビジネスモデルへの変換が求められている。その中で、安全な情報のやりとりは必須の土台となる。それを具体的に考えると、アクセス管理やライセンス管理が必要になる」と語っている。
これらを実現するために、さまざまな領域のベンダーによるデベロッパープログラムに参加している他、業界団体活動、標準化活動などにも参加。先進的な技術に対応する一方で、業界や技術などに応じた応用などに取り組んでいる。また、システムの安全性にも自信を見せる。WIBU-SYSTEMSはシステムの堅牢性を証明するために2年に1度、ハッキングコンテストを実施しているが「過去に1度も破られたことがない」(同社)としている。
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