「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)のモノづくり特別講演会に、日本製紙 北海道工場 白老事業所 工務部長代理兼白老電装課長である藤山道博氏が登壇。「製紙工場における設備保全の取り組みとIoT(モノのインターネット)活用」をテーマに独自の保全ソリューション「e-無線巡回」を導入した効果や、今後の取り組みを紹介した。
「メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019」(2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)のモノづくり特別講演会に、日本製紙 北海道工場 白老事業所 工務部長代理兼白老電装課長である藤山道博氏が登壇。「製紙工場における設備保全の取り組みとIoT(モノのインターネット)活用」をテーマに独自の保全ソリューション「e-無線巡回」を導入した効果や、今後の取り組みを紹介した。
日本製紙 北海道工場は、旭川事業所、勇払事業所、白老事業所という3つの事業所で構成されている。白老事業所は、上質紙、塗工紙、情報用紙、カップ用原紙などを主要製品として生産しており、パルプの生産量が日産1000トン、紙の生産量は月産3万1000トンとなっている。
紙パルプは代表的な装置産業で、その設備は24時間連続操業が基本だ。高温、多湿、腐食、粉じんなど厳しい環境に置かれている。また、製造工程は多工程であり、多要素設備となっている。工程間連携、連続プロセスなど工程は複雑であり、回転機器が多いという特徴もある。その上で、藤山氏は「これらの設備を安定操業させるのが基本だ。それが生産性や品質の確保につながる」と装置産業における設備保全の重要性を強調した。
ただ一方で、人材不足と人手不足、高経年設備の増加などの保全活動における課題も顕在化している。人材面では団塊世代の退職、技能継承の困難などにより熟練技術者が減少している。加えて、少子高齢化により労働人口が50年後には3分の2に減少すると予測されている。また、働き方改革により時短勤務や休日増など一人当たりの労働時間が減ってきており、従来のような保全活動を続けるのが難しい状況である。さらに、高経年設備についても、老朽化更新対策が進まないことで、突発的な故障が増加する傾向があるという。
これらの課題が顕在化する中で、保全活動に対する費用をかけられるのかというと「それも難しい状況がある」と藤山氏は語る。アジアや新興国などを含めグローバル競争が激化する中で、最終製品の価格を競争力あるものにするためには、製造コストを下げることが求められているからだ。そのためには、稼働率を高めることが求められており、さらに修繕コストを低く抑えることも大きなテーマとなっているのだ。
これらの課題を解決するために日本製紙 北海道工場 白老事業所が取り組むのがIoTを活用した予知保全である。
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