最新技術を品質保証に生かすには、これからのモノづくりの在り方MONOist品質管理セミナー(1/4 ページ)

MONOistは新時代の品質保証をテーマとしたセミナー「製造業×品質、転換期を迎えるモノづくりの在り方」を開催。同セミナーでは次々と発覚する検査不正や品質問題に立ち向かうべく、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった新時代のテクノロジーを従来の品質改善活動にどのように組み込むべきか、講演を通じて紹介した。

» 2019年06月11日 11時00分 公開
[長町基MONOist]

 MONOistは2019年5月27日、東京都内で新時代の品質保証をテーマとしたセミナー「製造業×品質、転換期を迎えるモノづくりの在り方」を開催した。同セミナーでは次々と発覚する検査不正や品質問題に立ち向かうべく、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった新時代のテクノロジーを従来の品質改善活動にどのように組み込むべきか、講演を通じて紹介した。

セミナーの様子

品質保証手法を本質まで実行できてこそ生きる最新技術

アムイの山田浩貢氏

 基調講演はMONOistの人気連載「品質保証の本質とIoTの融合」の執筆者である、アムイ社長の山田浩貢氏が登壇。「品質保証における最新技術の活用」を講演テーマとして、現在の品質保証が抱える課題を指摘しつつ、IoTやAIといった最新技術の活用に向けたアプローチを紹介した。

 現在の品質保証は、リーマンショックに起因した景気低迷による投資抑制、多種多様な顧客の嗜好に合わせた高度な品質要求、海外展開の推進と国内労働力の減少、紙と人手に頼った非効率な管理手法などの影響を受けていると山田氏は指摘。これらによって、技術伝承や組織連携、高度な品質要求の確保といった対応が困難な状況にあるとする。

 山田氏は「現代の品質とは、顧客が期待する『当たり前品質』の上に、顧客の期待を超える『魅力品質』が乗っている」と語る。一方で、上記の課題から「今までできていた品質(当たり前品質)の確保も難しくなってきた」(山田氏)という状況の中で、「魅力品質まで求められる時代であるため、現場は難しい状況に追い込まれている」という。

 これら課題に対する解決策の方向性について、山田氏はIoT、AI、ロボティクスなど最新技術の活用を挙げたが、「最新技術を導入する前に本質レベルで品質管理手法が理解できているかが重要」(山田氏)であるという。

 品質管理手法としてQFD(品質機能展開)やFTA(Fault Tree Analysis)、FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)、QC工程表の策定などは広く用いられている。また、生産段階でのTPS(Toyota Production System)、TPM(Total Productive Maintenance)も有効だが、「これらの手法が社内で伝承できていなかったり、変化に適応ができていなかったりするケースがある。もう一度、原理原則に立ち戻って標準化を推し進めることが必要だ」(山田氏)と指摘。手法を確立した上で、最新技術の活用することがより大きな効果につながるとした。山田氏は、品質管理手法のさらなる浸透に向けて社内教育制度の見直しや、品質にかかわる組織横断プロジェクトの実施が有効だとも提言した。

 これらの他、三現主義に基づいたIoT導入の手順、品質機能展開による設計品質の強化、品質保証のあるべき姿と実現の効果についても紹介した。

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