富士通と富士通研究所は、設計データから高精度のシミュレーション結果を得られるAI技術を開発した。電磁波強度推定実験では、推定誤差が従来のディープラーニングの±16.0%から±2.9%に改善した。
富士通は2018年9月19日、富士通研究所と共同で、設計データから高精度のシミュレーション結果を得られるAI(人工知能)技術を開発したと発表した。シミュレーションへ入力する設計データとシミュレーション結果をAIに学習させることで設計候補の評価を高精度化し、設計業務の効率化につなげる。
このAI技術では、物理法則に基づく近似モデルによって設計データから算出した推定値を学習データとし、シミュレーションによる厳密なモデルで算出した性能予測値を正解データとしてAIに学習させる。回路から10m離れた場所での電磁波強度推定実験では、推定誤差が従来のディープラーニングの±16.0%から±2.9%に改善した。
高精度のAI学習では、一般的に多数の学習データを必要とする。今回、シミュレーションの入・出力データをベースに、学習用のデータを新たに生成して学習データ量を補う技術も開発した。これにより、学習データを十分に準備できない場合でも、効果的な学習が可能になる。
今後、このAI技術を2019年度中に同社の電磁波解析ソリューション「FUJITSU Technical Computing Solution Poynting」の追加機能として製品化する予定だ。
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