CEATEC JAPANの変化が止まらない。2016年にIT・エレクトロニクス展からCPS/IoT展へと衣替えを発表。新たな展示企画などを打ち出し、産業界の枠を超えた新たな出展者を集めている。新たなCEATEC JAPANが目指すものとは何なのか。仕掛け人の1人であるCEATEC JAPAN 実施協議会 エグゼクティブプロデューサー鹿野清氏に話を聞いた。
CEATEC JAPANの変化が止まらない。従来掲げていた「IT・エレクトロニクス展」から「CPS(サイバーフィジカルシステム)/IoT(モノのインターネット)展」へ、2016年に展示会の位置付けを変更。新たな展示企画などを打ち出し、機械や小売、金融など産業界の枠を超えた新たな出展者を集めている。生まれ変わったCEATEC JAPANが目指すものとは何なのか。仕掛け人の1人であるCEATEC JAPAN 実施協議会 エグゼクティブプロデューサー鹿野清氏に話を聞いた。
MONOist 外から見ていてもCEATEC JAPANの変化を非常に感じます。そもそもどういうきっかけでこれらの変化に取り組んでいるのですか。
鹿野氏 CEATEC JAPANは「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」という2つの展示会を統合して2000年に誕生した。ただ、展示会の在り方としてはこれらの2つの展示会とそれほど大きく変わらなかった。ITおよびエレクトロニクス産業において、新たな技術を出展し、購買につなげるという典型的な家電見本市の在り方だ。
2000年代前半はそれでもよかった。しかし、グローバルでの技術の変化や経済環境の変化で、日本のITおよびエレクトロニクス産業では1社で新たなモノを生み出すような状況はなくなってきていた。その中で展示自体の魅力もそれほどなくなり、来場者にとってもあまり魅力的な展示会ではなくなってしまっていた。2015年には来場者も出展者も過去最低となり、これではいけないと大きく変化に舵を切ったという流れだ。
変化を目指す中で考えたのは、日本の産業界の方向性だ。変化の方向性を考えていた当時は日本政府が訴えた超スマート社会「Society 5.0」(2016年に発表)や、産業のコンセプトである「Connected Industries」(2017年発表)などもまだなかったが、こうした新たな産業の変化の動きが巻き起こっていることは捉えていた。各企業の動きもこれらを捉えようとする動きが広がっており、従来の産業界の枠組みを大きく変えるような動きも進んでいた。そこで2016年に「CPS/IoT展」を掲げ大きく方向転換をすることを決めた。
当時はCPSやIoTなどの言葉の意味が分からないというような人も数多くいたが、2018年は3年目を迎えて、違和感なく受け入れられるようになった。変化後に打ち出された政府のこれらの方向性や成長戦略などの動きにもハマり、「Society5.0を体感する場」としての立ち位置も生まれてきた。そういう意味では手応えを感じている。
MONOist 近い時期には、多くの専門展示会なども「IoT」を掲げ、IoT関連の展示会が乱立しているようにも見えますが、CEATEC JAPANの特徴をどのように考えますか。
鹿野氏 さまざまな専門展示会とCEATEC JAPANが根本的に異なるのが、もともとCEATEC JAPANが「総合展示会」だったということがある。専門産業や専門技術に特化したわけではなく、もともとの成り立ちとして多くの産業や業界を内包する展示会だ。これらが業界を超えた「共創」を生み出す土壌となっている。
これまでの日本の産業界は単独企業がさまざまな挑戦をしていろいろな社会課題に答えを出してきた。しかし、1社で生み出すのはもう難しい時代に入っている。日本の産業界でも企業の横連携や産業界連携などが必要で、そうしないと世界では戦えなくなっている。また、高齢化社会やインフラの老朽化など社会課題に対して立ち向かっていくにも1社で行えることではない。
CEATEC JAPANのテーマは2018年も「つながる社会、共創する未来」だが、企業同士の共創、出展者と来場者の共創などとともに、出展者同士の共創も促進できるのがCEATEC JAPANの特徴だと考えている。そこに付加価値を作っていきたい。
この出展者同士の共創を意識した取り組みの1つとして、2018年から入場システムを変更した。従来は来場者だけだった入場証へのQRコードの付与を、出展者にも割り振るようにし、出展者同士がバーコードによりお互いの情報をやりとりできるようにした。従来のIT・エレクトロニクス産業からの出展者だけではなくなってきている現状では、こうした出展者同士の交流も非常に重要になると考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.