「Embedded Technology 2017」「IoT Technology 2017」の特別講演に、東洋大学教授の坂村健氏が登壇。「オープンIoTで広がる未来、IoTからIoSへ」をテーマに、オープンIoTの考え方から実現のためのフレームワークアーキテクチャ、実践に向けての取り組みになどについて説明した。
「Embedded Technology 2017」「IoT Technology 2017」(2017年11月15〜17日、パシフィコ横浜)の特別講演に、東洋大学教授の坂村健氏が登壇。「オープンIoTで広がる未来、IoTからIoSへ」をテーマに、オープンIoTの考え方から実現のためのフレームワークアーキテクチャ、実践に向けての取り組みになどについて説明した。
IoT(モノのインターネット)をどう実現するか世界的に興味が集まっている。IoTと同様の概念は古くから登場しており、1980年代からモノに内蔵されたコンピュータがネットワークでつながり人の生活や社会の役に立つというシステムが訴えられてきた。以前はユビキタスコンピューティングなどとさまざまな呼ばれ方があったが、今ではIoTという言葉に集約されている。これは「『モノをインターネットにつなぐ』ということより『インターネットをモノのようにつなぐ』ということを明確にした呼称である」と坂村氏は説明する。
そして「IoTが大きく社会を変えられるどうかのカギはオープン性にある」(坂村氏)とし「インターネットは誰にでも何にでも使えるオープンなネットワークだったからこそ社会を変えるまでに至った」と坂村氏は強調する。
坂村氏は1984年からオープンなコンピュータアーキテクチャ「TRON」の開発にかかわってきた。TRONはプロジェクト開始時からIEEEとも連携。このほど「TRON RTOS」仕様をIEEEが標準化している。坂村氏は「IEEEの標準化委員会が『μT-Kernel2.0』仕様がIEEEの求める『IoTエッジノード向けOS』の要件に合致したため、その知的所有権を、トロンフォーラムがIEEEに譲渡する契約書にサインした」と報告した。
IEEEでは既に汎用(はんよう)のOS標準仕様としてPOSIX(Portable Operating System Interface)が存在している。しかし、POSIXは「IoTエッジノード向け」ではなく、IEEEの標準化委員会「小規模な組み込みシステム向けリアルタイムOSのためのWG」が定めるリアルタイムOS標準仕様の要件を満たすのは困難だった。同WGで示されている具体的な要件は以下の4つだ。
いずれも組み込みシステム向けに特化した特徴だといえる。IoTエッジノード向け(組み込み機器)OSとしては「多様性とOSの標準化による開発効率の高さが最も重要だ」と坂村氏は述べる。TRONは33年前から省資源で、シングルチップマイコン(MCU)から高機能なシステムまで対応するなどスケーラブルであり、しかもIoTシステムの多様性にも対応する。さらにOSのシリーズ化や着脱可能なデバイスドライブとサブシステム、サービスプロファイル機能なども採用している。
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