　ブリヂストンは2015年12月4日、東京都内で会見を開き、同社プレミアムタイヤブランド「REGNO（レグノ）」から軽自動車専用タイヤ「REGNO GR-Leggera（レジェーラ）」を市場投入すると発表した。2016年2月15日から販売を始める。同ブランドで軽自動車専用タイヤを投入するのは初めて。タイヤの性能を重視する軽自動車ユーザーが増加していることに対応する。REGNOらしい静粛性や乗り心地を軽自動車で実現するため、全ての性能を軽自動車専用に見直した。タイヤは3サイズ展開で、国内で生産する。メーカー希望小売価格（税込み）は14インチの品種「155／65R14 75H」で1万3500円を予定している。

なぜ軽自動車にプレミアムブランド？

ブリヂストンタイヤジャパンの長島淳二氏

　ブリヂストンタイヤジャパン消費財マーケティング本部長の長島淳二氏は、軽自動車市場について、「新車販売台数の4割を占める最大ボリューム市場で今後も拡大が見込まれる。居住空間や燃費、走行性能や安全性が向上しており、セダンやミニバン、SUVから軽に乗り換えるダウンサイズユーザーが半数近くを占めている」と分析する。また、日常の移動手段としての街乗りだけでなく、旅行やドライブでの高速走行までさまざまな場面で利用されている。

国内自動車ユーザーの変化（クリックして拡大）出典：ブリヂストン

　そのため、軽自動車であってもタイヤの性能を重視するユーザーが増えている。「より多くのお客さまにタイヤでクルマが変わるのを実感してほしい」（同氏）との狙いで、REGNOブランドから軽自動車専用タイヤを発売する。

　軽自動車の特性に合わせて、REGNOブランドのコンセプトである直進安定性能／ドライ性能／ウエット性能／低燃費性能／耐摩耗性能／静粛性能／快適性能を全て見直した。

REGNO品質を軽自動車ユーザーへ（クリックして拡大）出典：ブリヂストン

2つの開発コンセプト

ブリヂストンの山口渉氏

　2つの開発コンセプトのもとで、軽自動車専用の性能バランスを実現した。ブリヂストンタイヤ開発第5部部長の山口渉氏は「コンセプトのうち1つはブランドにふさわしい静粛性と快適性、運動性能を軽自動車で実現すること。もう1つは、普通乗用車よりも早く摩耗しやすい軽自動車用タイヤの耐摩耗性能を大幅に向上しながら、低燃費性能やウエット性能と両立することだ」と説明する。

　静粛性を実現するため、軽自動車に特有の中／低周波数域のノイズに着目した。このノイズは、路面の凹凸によるタイヤのベルトの振動や、タイヤ踏面のパターン構成によって発生する。軽自動車より大きい車両では目立たないノイズだという。

軽自動車の静粛性を向上するには（クリックして拡大）出典：ブリヂストン

　タイヤのベルトは、セダンタイプの普通乗用車ではショルダー部のみが振動するのに対し、軽自動車はベルト全体が振動する。そこで、剛性を最適化したシートで路面からの振動を吸収し、ベルトの振動を抑制した。タイヤ踏面のパターンについては、ピッチノイズを抑制しながらブロック剛性を確保する「千鳥サイプ配置」やロードノイズを軽減してブロック剛性を確保する「圧縮剛性抑制サイプ」、側面からロードノイズを抑える「3Dロードノイズカットデザイン」を採用した。