住友ゴム工業は、独自の新材料開発技術「4D NANO DESIGN」をさらに進化させた「ADVANCED 4D NANO DESIGN」の開発を進めている。大型放射光施設「SPring-8」、世界最高クラスの中性子実験ができる「J-PARC」、スーパーコンピュータ「京」を組み合わせることで、タイヤに関するさらに高度なシミュレーションが可能になるという。
住友ゴム工業は2015年7月6日、独自の新材料開発技術「4D NANO DESIGN」をさらに進化させた「ADVANCED 4D NANO DESIGN」の開発を進めていることを明らかにした。2015年中の完成を目指すADVANCED 4D NANO DESIGNでは、スーパーコンピュータ「京」などの最先端設備を活用した高度なシミュレーション解析によって、タイヤのグリップ性能や低燃費性能、耐摩耗性能などの大幅な向上が期待できるとしている。
同社で2011年、独自のシミュレーション技術を駆使し、ゴム材料の構造や性質を予測し、自在にコントロールすることで高性能タイヤに求められる材料を科学的、合理的にナノレベルで高精度に設計することのできる材料開発技術「4D NANO DESIGN」を発表。その後、4D NANO DESIGNを基に、タイヤラベリング制度の最高グレード「AAA-a」を実現した低燃費タイヤ「エナセーブ NEXT(ネクスト)」や、氷上ブレーキ性能を従来比11%向上2し、ライフ性能を同1.5倍に高めたスタッドレスタイヤ「WINTERMAXX(ウインターマックス)」などのタイヤを商品化している。
しかしタイヤに求められる性能は今後もますます高度化し、グリップ性能や低燃費性能、省資源化に貢献する耐摩耗性能を同時に向上させるためには、4D NANO DESIGNをさらに進化させる必要があると判断。2012年から、ADVANCED 4D NANO DESIGNの開発を進めていた。
ADVANCED 4D NANO DESIGNのベースになるのは、4D NANO DESIGNよりもさらに大規模なモデルを用いて、原子や分子の動きをよりリアルな現象として把握できるシミュレーション技術だ。具体的には、ゴムの構造解析を大型放射光施設の「SPring-8」で、運動解析を世界最高クラスの中性子実験ができる「J-PARC」で行った上で、材料中の原子、分子の動きを把握。それらの解析結果を用いてスーパーコンピュータの京によるゴムモデルのシミュレーションを行う。
ADVANCED 4D NANO DESIGNを活用すれば、これまでは確認できなかった、ゴム中における分子レベルのミクロな破壊現象からマクロな摩耗現象までを可視化することが可能になる。また、破壊現象の解析を大幅に促進でき、それらを抑制する新素材や新配合の開発につなげられるという。
ADVANCED 4D NANO DESIGNの開発は現在順調に進行しており、「第44回東京モーターショー2015」(一般公開日:2015年10月30日〜11月8日)で発表する予定。2016年以降に、実際の商品に採用していくとしている。
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