近年、水道事業に民間企業が参入する動きが強まっている。水道関連事業を手掛けるメタウォーターは、富士電機グループと日本ガイシグループ、それぞれの水環境部門の統合によって2008年設立された民間企業だ。同社の取り組みを取材した。
近年、日本国内における水道関連事業への民間企業の参入に注目が集まっている。従来、日本の水道事業のほとんどは国営だったが、最近では官民連携での事業運営を行う動きが徐々に進みつつある。その理由には、水道インフラの老朽化に伴う維持管理・更新費用の増加に加え、人口減少に起因する水道収益の将来的な減少や技術者不足が予測されているという背景がある。
また、水道関連事業はインフラが整備されていない新興国市場などを筆頭に、世界的に市場規模の拡大が予測されているのも民間企業が参入を検討する大きな要因だ。
2014年12月19日、水道関連事業を手掛ける民間企業の1つであるメタウォーターが東証1部に上場した。同社は2008年に、富士電機グループと日本ガイシグループ、それぞれの水環境部門の統合により設立された企業だ。2つの製造メーカーから生まれたメタウォーターの取り組みについて、同社が出展した「エコプロダクツ2014」(2014年12月11〜13日、東京ビッグサイト)で聞いた。
メタウォーターは、国内外で上水道、下水道など複数の分野における水処理事業を手掛けている。同社のブースでは、「車載式セラミック膜ろ過装置」の模型が展示された。トレーラーの荷台に搭載できる大きさのろ過装置で、災害などが発生した場合でも安全な水の確保に貢献できるという。主に気候変動や自然災害による飲料水問題を抱える新興国向けに提供を行っている。
この車載式ろ過装置に用いられている「セラミック膜」が、メタウォーターの浄水技術の鍵だという。同社の前身企業である日本ガイシのコア技術が活用されている形だ。「セラミックを利用しているため、耐久性に優れている。そのため、トレーラーに搭載することも可能になっている。また、洗浄が容易かつ寿命が長いため、管理費を抑えられる点や、従来の砂の層に水を通す浄水方法と比較して設備を小型化できるのも特徴。また、オゾナイザなどの浄化装置に関するコア技術を持っているのもメタウォーターの強み」(ブース担当者)。
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