ソニーは、眼科検査用の顕微鏡に取り付け、医師が見ている映像をフルHDで撮影するビデオカメラを発売する。角膜や水晶体などの映像を高精細に映し出すことができるので、検査や治療の他、研修や研究などの用途にも役立つとしている。
ソニーは、眼科検査用の顕微鏡(スリットランプ)に対応した、CMOSフルHDビデオカメラ「MCC-500MD」を発売すると発表した。スリットランプに装着すると、スリットランプをのぞいている医師が見ている映像を、フルHDで撮影することができる。カメラユニット1台とコントロールユニット1台で構成され、参考価格は72万円(税別)。
スリットランプは、角膜、水晶体、結膜といった前眼部の観察に用いられている。一般的に、スリットランプで前眼部を検査する際は、検査室内を暗くし、患者の眼に強いスリット状の光を当てた映像を観察して傷や炎症があるかどうかを確認する。映像は、暗い背景に明るい被写体が映し出されるものとなるので、撮影するカメラには広いダイナミックレンジや高い感度などが要求される。
MCC-500MDは、1/2.9型CMOSセンサー「Exmor(エクスモア)」(有効画素数207万画素)を搭載し、F値5.6の高感度と55dBの低ノイズを実現している。このため、微細な情報を高精細に撮影できるとする。カメラユニットは、CMOSイメージセンサーの採用により、40gと軽量だ。コントロールユニットの質量は約2.3kgとなっている。カメラユニットとコントロールユニットを結ぶケーブルは、6m、10m、15mから選択できる。オプションの延長ケーブルを用いれば最大20mまで延長することが可能だ。
さらに、特定の撮影に適した最大6つの撮影条件を設定できる「ピクチャープロファイル機能」を搭載している。設定した条件は、フロントパネルのボタンにタッチするだけで呼び出すことができる。カスタマイズできるパラメーターは、露光、シャープネス、ガンマ、ホワイトバランスといった画質設定の他、眼科検査に多用されるフルオレセイン蛍光検査*)モードも搭載している。医師は、検査内容によって撮影モードを容易に切り替えられる。
*)フルオレセイン蛍光検査:眼科臨床における診断の際に広く使われている検査方法。フルオレセインナトリウム溶液を眼に滴下し、蛍光造影を行うことで擦過傷や潰瘍(かいよう)の有無や程度を観察する。
用途としては、主に下記の2つを想定している。
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