ワークサイズが1000×800×500mmの大型3次元プリンタ「Objet1000」がStratasysより発表された。従来製品では扱えなかった大きなサイズの造形が可能となった。記事後半では、StratasysとObjetの合併にともなう日本での販売体制について紹介する。
3次元プリンタメーカーのStratasysの日本法人 ストラタシス・ジャパンは2012年12月12日、大型3次元プリンタ新製品「Objet1000」を発表した。同製品のワークサイズは1000×800×500mmで、従来製品では扱えなかったサイズでの造形が可能。自動車や航空機など1つ1つの部品サイズが大きくなりがちなケースにも対応できるようになった他、今後のモノづくりのトレンドになっていくだろうマスカスタマイゼーション(多品種多量生産)のニーズにも対応できるとしている。
同製品は、「Objet Connex」の造形材料が対応する。8個のプリントヘッドを備え、複数の素材での造形やデジタルマテリアル(装置内で合成する複合材料)が利用できる。3次元モデルの入力フォーマットは、STL、OBJDF、SLC。
製品の仕様は、以下のとおり。
プリントモードについては、「高品質」「高速」「デジタルマテリアル」の3つを備える。
上の写真でStratasys AP Limited(Stratasysの子会社:旧Objet AP) マネージング・ディレクター ギラード・イロン(Gilad Yron)氏らが持っている巨大なモンキーレンチ「ジャイアント・レンチ」は900×500×70mmほどの大きさで、Objet1000で造形したもの。作品の重量は約7kg、造形時間は約30時間。
3次元プリンタは、複数部品が組み合わさり、かつ機構が機能する状態で造形できることが大きな特徴。モンキーレンチのモデルは、そのような特徴を伝えるのに適しており、3次元プリンタメーカー各社の造形サンプルでよく見られる。
また上の写真のような、900×500×70mmほどの大きさの折りたたみイスも製作できる。こちらは作品の重量が約8kgで、造形時間が約35時間。
大型の造形物に対応するウォータジェット装置(水を噴射しサポート材を除去する装置)も開発した(以下の画像)。
Objet1000の出荷は、同社が選定した顧客に対して、2013年第2四半期より順次開始するということだ。本格的な出荷については、2013年下半期を予定している。販売価格については、現時点では検討中だという。
同製品の対象顧客は、主に自動車や防衛・航空宇宙、産業機械、家電、消費財など、各業界の大手企業としている。
3次元プリンタメーカーのStratasysとObjetは2012年12月3日、両社の合併が正式に完了したと発表した。合併後の名称は「Stratasys」となった。
この合併により、Stratasys本社CEOには、旧ObjetのCEOを務めていたデイビッド・ライス(David Reis)氏が就任。旧StratasysnoのCEO スコット・クランプ(Scott Crump)氏は、新Stratasysの会長に就任した。
イロン氏については、2012年いっぱいで同社子会社の現職を退任し、Stratasys本社付けになるとのこと。その後は、ジョナサン・ジャグロム(Jonathan Jaglom)氏がそのポストを引き継ぐ。
上記に伴い、旧Objetの日本法人だったオブジェット・ジャパンはストラタシス・ジャパンと名称を改めた。旧オブジェット・ジャパンの代表取締役社長だったエリック・ゴギー(Eric Goguy)氏は、ストラタシス・ジャパンの代表取締役社長に就任した。
日本国内における旧Objetおよび旧Stratasys製品の販売については、ストラタシス・ジャパンが主体となり取りまとめていく方針であり、2013年中をめどに徐々に販売ルートを整備していくということだ。これまで旧Stratasys製品を扱ってきたパートナー企業(代理店)とは、今後も引き続き密な連携を取り、良好な関係を築きながら製品を広めていきたいとしている。
なお両社が合併したことで、当然ながら製品ラインアップが大幅に拡大し、新Stratasysとして保有する積層造形に関する国際特許の総数は500ほどとなった。同社は現在、以下3つの主要技術を保有する。
上記により、製品設計から試作、生産まで、幅広いニーズに対応可能となったということだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.