シミュレーション・ライフサイクル管理(SLM)機能の追加の他、プラットフォームのオープン対応、CATIA V6の改善が目玉だ。
フランスDassault Systèmes(ダッソー)は、2012年11月21日、データ管理用プラットフォーム「3DEXPERIENCE」の新版「V6 Release 2013x」を発表した。
改良点は大きく3つある。シミュレーション・ライフサイクル管理(SLM)機能の追加、プラットフォームのオープン対応、CATIA V6の改善である。
SLM機能を追加した目的は、シミュレーションデータの管理とベストプラクティスの適用、シミュレーション結果の共有にある(図1)。SLM機能を使うことで、複数の関係者による意思決定が容易になり、顧客はシミュレーションに対する投資収益率(ROI)を最大化できるのだという。なお、ダッソーの顧客である航空宇宙・防衛や輸送、消費財関連の企業の協力によってSLM機能を実現できたという。
オープン対応は3点に分かれる。まずビッグデータへのアクセスの改善では、分散ファイルシステムHadoop HDFSに対応し、WebアプリケーションサーバであるWebSphereやSharePointと接続した際の性能を改善した。加えて、ビッグデータの検索や調査、分析を容易にするために、ナビゲーション機能や可視化機能を追加した。
オープン対応の2点目として、STEP規格のうち、航空宇宙と自動車を統一して扱える「AP242」に対応した。ISO標準の境界表現(BREP)とテセレーション済みのデータの読み出しと書き込みに対応する。
最後にセキュアなデータ交換機能を改善した。
CATIA V6の改良点は2つに分かれる。まず、オンラインモードとオフラインモードをより使いやすく、切り替えを容易にした。
インターネット接続から外れることがあらかじめ分かっており、非接続時にもCADデータの編集を続けたい場合は、以下のようにデータの同期を保証できる。まず接続から外れる前に専用のメニューボタンを押す。この後、ローカルでデータを編集したとしても、インターネットに再接続した時点で、システムがデータを同期する。
次に、複合素材からなるファイバーのシミュレーション機能を追加した。この技術は2011年に買収したSimulaytの技術を利用しており、航空宇宙、自動車、エネルギー分野など複雑な形状を扱う顧客に役立つという。
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