以降は、JIMTOF 2012内のブース出展の中から、ほんの一部を紹介していく。
オオクマは自社開発したNC旋盤、マシニングセンター、複合加工機など多数の機種を展示した。同社は、「サーモフレンドリーコンセプト」(熱変位対策)、「加工ナビ」(ビビリ対策)、「アンチクラッシュシステム」(複雑な内部構造を持つ機械の衝突防止)といった独自の制御技術(知能化技術)により加工品質を高めることを得意としている。
切削加工は“熱との戦い”。加工機は、それ自身が熱の発生源でもある。熱が加わることで材料が膨張して伸びてしまい、それが加工寸法の精度に響いてくる。従来は、前もって暖気運転をしておき温度コントロールをする、恒温室を利用するなど、対策を講じる必要があった。サーモフレンドリーコンセプトは、そういった対策をしなくても、装置の制御で「熱変形の単純化」と「温度分布の均一化」をすることで、熱変位の条件を予測可能な範囲に絞ることができ、正確な寸法補正が可能ということだ。
2年前のJIMTOF 2010出展時、他社は、曲面を多用したデザインを採用する動きが見られた。一方、当時のオオクマはまだ板金を折り曲げて作ったような角ばったデザインが主流だった。同社はそれまで、装置のデザインより機能で勝負、「機械は削れてなんぼ」とやってきた。しかしそのような他社の動きや、営業やユーザーからの要望から、デザインも世の中のニーズの1つであると同社は考えた。
そこで、社内の若手社員中心で構成するデザインプロジェクトを立ち上げた。プロのデザイナーの意見をたまにあおぎつつ、「偉い人は口を出さない」よう、彼らの自主性に任せてプロジェクトが進められたということだ。
そうして生まれた同社の「MULTUS B300 II」は、NC旋盤とマシニングセンターの機能を併せ持つインテリジェント複合加工機だ。ドア部に曲面を利用し、配色も洗練されたデザインに生まれ変わった。人間工学的な考えも取り入れて、作業者と機械が調和するようなデザインとし、操作性の面でも作業効率が高まるよう工夫を凝らした。そのかいあってか、この装置は「第42回機械工業デザイン賞 最優秀賞、経済産業大臣賞」を受賞した。
派手な展示物やプレゼンテーションイベントが際立ったヤマザキマザックのブースでは、同社米国工場で独自開発した工作機械の新製品のほか、レーザー加工機、CAD/CAM、工場管理ソフトウェアなど多数展示した。
同社が部品供給するF1チーム「ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス(Vodafone McLaren Mercedes)」のF1カーの展示も実施。マクラーレンのテクノロジーセンターの部品加工部門には、25台のマザック製加工機が導入されているという。
3つのスクリーンと、ホログラムの演出がふんだんに盛り込まれたプレゼンテーションで、同社顧客や製品について紹介。そこでは、スカイツリーの建設や小惑星探査機「はやぶさ」に携わったユーザーが自社事例やマザック製品について語った。
森精機製作所は、同社のCNC旋盤「NLX」シリーズなど加工機多数と、ドイツの工作機械メーカー ギルデマイスター(GILDEMEISTER:DMG)製の高精度横形マシニングセンター「DMC 60 H linear」や5軸マシニングセンター「DMC 65 monoBLOCK」などを展示した。森精機製作所は、2009年からギルデマイスターと資本提携。以来、国内外の展示会への共同出展やマシニングセンターの共同開発などに取り組んできた。
同社と精密切削加工業の入曽精密、微細工房、東京大学 生産システム研究所が共同開発した超微細パーツハンドリングマシン「マイクロパーツ・ハンドリング・システム」も展示。超微細な部品を扱おうとすると、微風で転んでしまう、あるいは静電気で意図しない部分に吸いついてしまうなど問題が生じる。そこで開発されたのが、この装置だ。
同社恒例の「切削加工ドリームコンテスト」の作品展示も見られた。
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