Rhines氏が最も強調した手法はデータ管理に関する取り組みだ。結局の所、各部門の技術者が欲しいのは製品に関する最新のデータ(仕様)であり、最新のデータを入手できれば各部門で設計・開発を進めることができるからだ。だが、データ共有にはわながあり、一見、使いやすいソリューションに見えても実際の役には立たないことが多々ある。
「システムを最適化しようとすれば、それぞれの部門は他の部門から送られてきた情報にアクセスしようとするだろう。統合ワークステーションのようなソリューションはどのくらい効果的かと、相談を受けることがよくある。統合ワークステーションとは、例えば電気技術者にとっても機械技術者にとっても同一になるような作業環境である。多くの事例があるが、この手法を採って成功した例はとても少ない」(同氏)。
同社は1980年代後半にこの手法を採り入れ、1990年代には「バージョン8.0」と呼ぶ製品を作り上げた。「機械系と電気系に対応しており、それぞれの部門が自部門で扱うどのような情報も共有できた(図9)。当社の顧客の管理部門(マネジメント層)はこの製品をすばらしいと感じていた。UI(User Interface)は1種類にまとめられており、製品データのデータベースも1つ、データ形式体系も1つ。ソフト開発と電気系設計、プリント基板設計、機械系設計の全てを8.0上で実行できた。だが、8.0はうまくいかなかった。技術者は8.0を望んでいなかった。8.0のようなソリューションを好ましいと感じたのは管理層だけだったのだ」(同氏)。
Rhines氏はデータ管理自体が間違っているのではなく、データを共有する手法が不適切だったとして、データ管理の手法を3種類に分類してみせた。
「製品データ管理(PDM)システムやプロダクトライフサイクル管理(PLM)システムを利用している企業は多い。これらのシステムは多くの部門を緊密に結び付ける(図10)」(同氏)。
「これらのシステムには課題がある。全てのデータが中央データ管理ポイント(PDM)を経由しなければならないことだ。見かけ以上に困ったことになる。これらのシステムや製品データ管理システムは全てのハブ(ボトルネック)になってしまう。データベースやデータ形式体系など他の部署でも使われるもの全てのハブだ」(同氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.