EV時代も新たな雇用を創出、ルノーと日産が強調:自動車業界の1週間を振り返る(2/2 ページ)
さて、今週も自動車業界は電動化の話題が絶えませんでした。まずは、2030年までに電動車の販売比率90%としていたルノーが、同年までにEV(電気自動車)の販売比率を90%にすると発表しました。
日産自動車も、欧州のEV生産のエコシステムを構築するハブ拠点を公開しました。EVを生産する日産の英国サンダーランド工場の隣接地に、エンビジョンAESCが4億5000万ポンド(約690億2700万円)を投資して生産能力9GWhのバッテリー生産拠点を設けます。生産能力は2030年までに最大25GWhまで増やします。生産するのは、エネルギー密度を従来比30%向上させた新世代のセルです。なお、サンダーランド工場で生産するのは「アリア」ではなく「新世代のクロスオーバーEV」としています。
サンダーランド工場には、再生可能エネルギーを使ったマイクログリッドから電力を供給する他、EV用バッテリーを定置用蓄電池として活用します。マイクログリッドには、既存の風力発電や太陽光発電の設備と、新規に建設する太陽光発電設備によって132MWの発電量を見込んでいます。駆動用バッテリーを再利用した蓄電システムは1MWもの規模になり、余剰電力を別の時間帯に使用できるようにします。
ルノー、日産ともに、新たな雇用を生み出す点を強調した発表となっているのが印象的です。ルノーは2030年までにフランスで4500人の直接雇用、日産はハブ拠点に関連するプロジェクトとサプライヤーでの雇用も含めて、英国に6200人分の雇用を創出するとしています。エンジン車からEVに移行する中で人員削減が進むといわれている中、少しでも雇用に貢献するポイントをアピールしたいところなのかもしれません。
スズキもEV専任組織
スズキもEVへの取り組みを強化すべく、EVの専任組織「EV事業本部」を7月1日付で新設しました。EV事業本部の下には車両企画部を置きます。EV事業本部長は、四輪アジア営業本部長である橋本隆彦氏が兼務します。
スズキは2025年までに「電動化技術」をそろえ、2025年から製品に全面展開します。2030年から電動化製品の量的な拡大に取り組む計画です。スズキのEVで重要なテーマとなるのは、軽自動車とインド向け製品です。
軽自動車市場は日産やホンダがEVを投入すると宣言していますが、生活の足として購入しやすい価格と性能を出せるかが課題です。インドでは中央政府が2019年3月に電動車普及に向けた補助金スキーム「FAME-II」を支援策として展開しており、グジャラート州も独自のEV普及支援策を打ち出しました。グジャラート州では2025年までに二輪と三輪、四輪で合計20万台のEVを導入する方針です。
EVでは四輪でトヨタ自動車やダイハツ工業との連携が、二輪では交換式バッテリーについて川崎重工やホンダ、ヤマハ発動機との協力もあります。EVに関しては、スズキに限らず各社とも協力ありきの展望を描いています。2030年が1つの節目となりそうですね。
今週はこんな記事を公開しました
- 和田憲一郎の電動化新時代!
- 電源システム解説
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