北米よりも厳しい状況にある市場が中国だ。現地の中国自動車メーカーがEVを中心とした新エネルギー車で攻勢をかけており、2022年度をピークにシェアを落としていた。しかし、2025年度からは「現地ニーズに合った商品の投入でシェアは下げ止まり、足元では底堅く推移している」(宮崎氏)という。
今後は、これまでの商品投入で構築した基盤を生かして、合弁パートナーの力をフル活用するとともに、RCE(Regional Chief Engineer)と呼ぶ現地チーフエンジニアが企画から開発まで全責任を持つ体制により、市場の声を素早く反映できる開発サイクルを高速で回していく。部品調達も競争力を起点に、国籍やグループ会社などを問わず、最適な部品や技術を採用する。2027年9月に稼働を予定しているレクサス上海では、開発工程を同時並行で進めることで開発期間を18カ月短縮するという。宮崎氏は「『With China、For China』で開発した競争力の高い新エネルギー車を続々と投入し、再び成長を加速させる」と意気込む。
アジア/グローバルサウス市場は、次世代の電動化戦略の基盤となる「マルチパスウェイプラットフォーム」への刷新が主な戦略となる。このマルチパスウェイプラットフォームは、主要な車両セグメントであるA〜Cセグメントを1つのプラットフォームでカバーし、HEV、EV、PHEV、ICE(内燃機関車)/CN(カーボンニュートラル)燃料など全てのパワートレインに対応する。
アジア市場ではA〜Cセグメントが6割を占める。そのうち23%がEVになるものの、多様なパワートレインの需要も引き続き強い。マルチパスウェイプラットフォームには「こうした需要に機動的に対応するとともに、市場の6割を占める車種を群でカバーし、量を束ねることで、コスト競争力を高める」(宮崎氏)という狙いがある。なお、同プラットフォームを基にしたモデル展開では、中国市場での学びを横展開することで原価競争力をさらに引き上げる。
アジアでのマルチパスウェイプラットフォームを中核とする取り組みは、グローバルサウスに広げていくことになる。トヨタ自動車は、2002年から展開している「ハイラックス」をはじめとするピックアップトラックや大型SUVの「IMVシリーズ」で世界最適の調達基盤を構築した経験があり、これをマルチパスウェイプラットフォームの横展開にも生かす。
補給部品や金融などのバリューチェーン事業は、2025年度の段階で2兆円を超えるレベルまで拡大している。これは、世界で保有されているトヨタ車が1.5億台にまで拡大していることによるものだ。今後も、新車販売を伸ばして保有台数を増やしながら、補給部品/メンテナンス、リース/割賦など、顧客のカーライフ全体で接点を広げて、つながりをより太く、長くしていく。保有台数の拡大、掌握率の向上、掌握期間の伸長の3つを掛け合わせて、従来と同様に年間1500億円レベルの成長を積み上げて、2030年度には2025年度から1兆円の上積みとなる年間3兆円の大台に乗せる計画である。
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