サントリー大阪工場がAIとロボットで挑む「原料ハンドリング自動化」:ITmedia Virtual EXPO 2026 夏(1/2 ページ)

製造業向けの国内最大級のオンラインイベント「ITmedia Virtual EXPO 2026 夏」で行われた講演の中から、「サントリー大阪工場のものづくり技術革新」と題してサントリー大阪工場の高橋大輔氏が行った基調講演の内容を抜粋して紹介する。

» 2026年10月21日 07時00分 公開
[長町基,MONOist]

 製造業向けの国内最大級のオンラインイベント「ITmedia Virtual EXPO 2026 夏」が2026年8月25日から9月25日まで開催された。同イベントでは、企業事例や有識者の講演を通じて、ものづくりの戦略策定と課題解決につながるヒントを提供した。

 本稿では、各講演の中から「サントリー大阪工場のものづくり技術革新」と題してサントリー大阪工場 技師長 工務部門・連続蒸溜部門担当の高橋(高は、はしご高)大輔氏が行った基調講演の内容を抜粋して紹介する。

サントリーで「多彩な原料酒」を製造する唯一の大阪工場

 大阪工場は、さまざまなスピリッツ・リキュール製品に使用される「多彩な原料酒」を製造する同社唯一の工場となっている。また、サントリーの現存する工場の中で最も長い歴史を持つ工場だ。

 サントリー草創期のヒット商品である赤玉ポートワイン(1907年発売、1973年に赤玉スイートワインへ名称変更)を大量生産するために1919年に操業開始(当時の名称は築港工場)され、数々のスピリッツ、リキュールを生み出してきた。なお、赤玉スイートワインは現在も大阪工場で作られている。

サントリー大阪工場の高橋氏 サントリー大阪工場の高橋氏

 大阪工場の従業員数は約260人で、敷地面積は約5万m2。単式蒸溜器、連続式蒸溜機、浸漬設備、瓶詰設備を備えており、年間の生産能力(ボトリング能力)は約500万ケースに達する。生産品目は約170種類とバリエーションは豊富で、スピリッツ・原料酒の製造に加え、同社の西日本における瓶製品の製造拠点となっている。

 製造工程は大きく、アルコール度数95%の原料酒を作るベーススピリッツ製造、原料酒を蒸溜してブレンドする原料酒製造/ブレンド、それをボトリングする瓶詰の3つに分かれ、大阪工場はさまざまな機能、工程を有するハイブリッド工場に位置付けられる。

サントリー大阪工場の主な製造工程 サントリー大阪工場の主な製造工程[クリックで拡大]出所:サントリー

 大阪工場の主な生産品目としてはジンなどのスピリッツ、梅酒をはじめとしたリキュール、各種ウイスキー、ブランデー、赤玉スイートワインなどとなっている。包装ラインは3ラインがあり、Vラインが瓶とペットボトルの高速ハイブリッドライン、Sラインが多品種兼用のマルチライン、Wラインが海外向けのグローバル製品対応の高速ラインとなっている。

 2005年に、サントリー内の工場の統廃合により、大阪工場にリキュール工房の機能が移転された。そして近年、国内でジンの需要が拡大する中で、原料酒の製造能力を高めるためリキュール工房の建て直しが行われることになり、2025年に新スピリッツ・リキュール工房が稼働した。

 スピリッツ・リキュール工房のコンセプトは、「多彩な厳選素材」と「熟練の蒸溜技術」の掛け合わせだ。ジュニパーベリー、ゆず、レモンピールなどの厳選された原料を使って浸漬した原料酒を、4基の蒸溜器(釜)を使い分けて同社にとって欠かすことのできない「キー原料酒」を製造することが役割となる。投資額は65億円で、工房をさらに進化させて「つくる+伝える場へ」とより設備を充実させた。

 「つくる」に関しては、浸漬タンク8基の新設により、生産能力を2.6倍に高めた他、蒸溜器も4基を更新して品質向上も図った。さらに、開発と生産の連携を向上させるため、パイロットディスティラリーを新設した。

 「伝える」に関しては、2026年5月から新スピリッツ・リキュール工房を一般公開しており、新蒸溜器から発せられる香りや温度を肌で体感しながら製造工程を見学できる。

新しいスピリッツ・リキュール工房のものづくりの特徴 新しいスピリッツ・リキュール工房のものづくりの特徴[クリックで拡大]出所:サントリー
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