帰納型の「情報の流れ分析法」と演繹型の「ワークデザイン法」:現場改善を定量化する分析手法とは(21)(3/4 ページ)

» 2026年09月25日 08時00分 公開

4.間接業務の情報処理(加工)作業

 間接業務の主体は「情報の処理」であるといっても過言ではありません。情報の処理には、必ずインプット(入力)情報とアウトプット(出力)情報があります。このインプット情報とアウトプット情報を分析し、適切に改善を進めていくことが間接業務の改善の重要ポイントになります(図1)。

図1 図1 情報処理業務のステップ[クリックで拡大]

5.情報の流れ分析の事例

 図2は、機械設備の製作を題材に情報の流れ分析を行った事例です。なお、インプット情報の入手先や紙情報か電子情報かの区分なども記入しておくと後の改善に便利です。

図2 図2 情報の流れ分析の事例(機械設備製作の場合)[クリックで拡大]

 図2の情報の流れ分析の分析事例は、業務の流れを主体とした分析ですが、実際の作業の流れは、流れに従って情報が人から人へと伝達されていきます。そのため、人を中心とした流れ分析が必要になってきます。例えば、顧客からのクレーム処理に3人の人手が必要であったとすれば、人の労力が中心の情報の流れ分析によって1人で処理できる仕組みへの改善も可能となってきます。

6.「ワークデザイン法」によるシステム設計法

 ここまで説明してきた情報の流れ分析法は、現状の不具合発見を主体とした帰納型分析法でしたが、原理や理論に立脚した改善策を論理的に導いていく演繹(えんえき)型分析法として「ワークデザイン法(Work Design Method/ Nadler's Work Design Method)」がありますので、この手法に少し触れておきたいと思います。

 ワークデザイン法は、米国のウィスコンシン大学のジェラルド・ナドラー(Gerald Nadler)博士が発表した仕事の仕方を設計する手法です。課題の分析から始めるのではなく、ありたい理想の仕組みを最初に描き、現実的なシステムを設計するという思考アプローチを主体とした手法です。ナドラー博士は、後にワークデザイン法を単に手法としてではなく、「ブレークスルー思考」としてまとめています。つまり、抜本的な新しいシステムを考える際に特に有効な手法だといえます。例えば、新製品開発や新ビジネスモデルの設計法としても活用されるようになってきました。このように、ワークデザイン法は大変魅力的な手法の一つであるといえます。

6.1 ワークデザイン法の進め方

 ワークデザイン法は、理想システムの設定に大きな特徴があります。「ワークデザイン法」は手順に沿って理想のシステムを設定し、現状を理想システムに合うよう変えていくことを目指します。ナドラー博士は、「ワークデザイン法」の手順を表4に示しました“10のステップ”で、業務のやり方を設計していく方法を提示しています。

 ワークデザイン法を簡単に説明すると、まず「目的展開(機能展開)」という思考作業を行います。この思考作業によって、なすべき仕事の本質的な目的を明確化します。次に、その目的を果たすための仕事の仕組み(システム)を考えます。そして、考え出された仕組みをコンピュータシステムなどで実施できるようにすれば、ワークデザイン法によるシステム設計が完了します。

 ナドラー博士のワークデザイン法は、最初に理想を高く掲げ、これまでの常識を覆すような「ブレークスルー(画期的な解決策)」が生まれやすくなるのが“10のステップ”の最大のメリットです。

表4 表4 ナドラー博士のワークデザイン法「10のステップ」と内容[クリックで拡大]

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