製造業でのデータ活用の重要性は各所で指摘されています。ただ、こうした活用で実際に生産性を高めていくには、データ活用それ自体の効率性向上も図っていかなければなりません。今回はこの点を解説していきます。
今回は製造業でよく見られるデータ活用のパターンをいくつか解説します。
製造業にとって代表的な活用事例の1つが、サプライチェーンの最適化でしょう。データを分析して需要予測の傾向を割り出すことができれば、最適な在庫管理や生産管理につなげられます。ただ、こうしたデータ活用を成功させるには作業効率化も欠かせません。
さまざまな企業がデータを事業に活用しようと試みています。毎日、さまざまな事業で多様なデータが生成されていますが、これらはどのようなデータであってもダイヤの原石のようなものです。加工し、磨けば大事な価値を持つ資産として輝きます。
現在、データ活用のためのローコード/ノーコードツールや、可視化のためのツールが数多く登場しています。誰もがデータを活用できるようになっている時代ですから、データ分析に関する特別なスキルがなくとも、データを基に各自が自身のタスクを効率化することも可能です。さまざまなツールをぜひ試してみてください。
簡単にデータが活用できるということは、何度もツールを使って変革に向けた試行錯誤を繰り替えす機会があるということです。タスクの効率化と先ほど言いましたが、変革の可能性があるのは業務領域にとどまりません。データ活用によって、事業を通じて社会や生活を変えていくことも可能になります。ぜひ、大きな視点を持って創造力を発揮してもらいたいと思います。
データ活用の主要なパターンには、顧客サービスのパーソナライゼーション化やリスクの評価、管理、マーケティング活動の最適化などがあります。製造業でよく見るケースとしては、需要予測からサプライチェーンの最適化につなげるというものがあります。
過去の販売データを分析することで、季節や地域などの外部要因に起因する傾向を見いだすことができます。ベテラン営業員であれば経験で傾向の変化を把握できるかもしれませんが、そうした変化があるのか実際にデータで裏付けを取ることもできます。逆に、まだ誰も気付いていない傾向を発見できる可能性もあります。
需要予測の精度が高まると、在庫の配置や生産計画の最適化につなげられます。ある企業では倉庫が国内数カ所に分布しているため、需要に適した在庫量を各倉庫に適切に配備する必要がありました。過去の販売データから需要変動の傾向を見いだし、需要が高まりそうな地域の倉庫に在庫を多めに備蓄することで、より効率的に製品を配送できるようになりました。
在庫量の最適化は製品の稼働データと組み合わせると、より有効に行うことができます。稼働状況をセンサーから常時収集できるIoT(モノのインターネット)機器であれば、収集したデータを機械学習することで、故障の前兆を捉えることも可能となります。修理で交換が必要になりそうな部品や製品を、必要量供給できるように在庫管理や生産管理を行うことで、保守サービスの質向上にもつながります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.