製造業におけるIoT活用ブームが始まった2015年から10年が経過した現在も、中小製造業のIoT導入はなかなか進んでいない。本連載では、あらためて中小製造業がIoT導入を進められるように、成功事例を基に実践的な手順を紹介していく。第1回は、連載の狙いと全体像について説明する。
筆者であるアムイ 代表取締役の山田浩貢氏は、これまでもMONOistで中小製造業でも実践可能な工場を中心としたIoT(モノのインターネット)活用をテーマとする解説記事を多数執筆してきました。今回から始まる新たな連載のテーマは、「あらためて取り組む中小製造業のIoT活用」です。(MONOist編集部)
IoTが日本で知られるようになったのは2015年ごろであり、2024年となった現在までに約10年が経過していることになります。途中、2020〜2022年の約3年間は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のまん延のため、製造現場に外部業者の立ち入りが出来ず停滞していた時期があるものの、いまだに中小製造業は、昭和の時代に培った「目で見る管理」を中心とした、人が紙と鉛筆を使った人間力に頼る現場管理が主体となっています。
一方で、デジタル化や自動化を積極的に受け入れる3代目経営者を中心に中小製造業でもIoT技術を自社にうまく取り入れて次世代の工場経営を実現している事例も出てきています。「IoTはもう古い」というような言葉も出つつありますが、現在注目されている生成AI(人工知能)の活用に進むためには、まずIoTによってデジタルデータ基盤を構築し、生成AIに学習させるためのビッグデータを収集/蓄積することが前提となります。
本連載では、IoTが注目されるようになってから10年を経て、あらためて中小製造業の皆さんがIoTをうまく導入してデジタル化を主体とした工場経営を実現していくための手順について具体的に解説していきます。アプローチとしては、教科書的な内容ではなく、成功事例を基に実践的な手順を紹介していきます。まずはこの手順で進めて頂ければ、手戻りや挫折することなくIoTを導入できるのではないかと考えています。
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