ZOZOが似合うラボの成果をアプリに実装、2026年にはAIによるスタイリング提案もスマートリテール(1/2 ページ)

ZOZOは、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」のリニューアルを発表するとともに、同社初のリアル店舗「niaulab(似合うラボ)」で得られた成果について説明。WEARの新機能のうち「ファッションジャンル診断」は、似合うラボで収集したデータから導き出した「似合う」の4要素のうち「ジャンル」に関する知見を組み込んだものだ。

» 2024年05月10日 06時15分 公開
[朴尚洙MONOist]
ZOZOの澤田宏太郎氏 ZOZOの澤田宏太郎氏

 ZOZOは2024年5月9日、東京都内で会見を開き、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」のリニューアルを発表するとともに、2022年12月に東京の表参道にオープンした同社初のリアル店舗「niaulab(似合うラボ)」で得られた成果について説明した。WEARのリニューアルに併せて追加される新機能のうち「ファッションジャンル診断」は、似合うラボで収集したデータから導き出した「似合う」の4要素のうち「ジャンル」に関する知見を組み込んだものだ。

 似合うラボでは、独自開発のAI(人工知能)「niaulab AI by ZOZO(以下、似合うラボAI)」によるファッションコーディネートとプロのスタイリストによるスタイリング提案を組み合わせたサービスを無料で提供している。2023年2月〜2024年4月の期間で集計したアンケート結果によれば、同期間の累計応募者数は約11万人、このうち約1000人がサービスを体験しており、サービス体験の満足度は10点満点で平均9.2点、似合うが見つかった割合は96.6%と良好な結果が得られている。

似合うラボのアンケート結果 似合うラボのアンケート結果[クリックで拡大] 出所:ZOZO

 ZOZO 代表取締役社長兼CEOの澤田宏太郎氏は「似合うラボは、似合うを研究する施設だ。当社のファンションEC事業を拡大していく上で、服を買いたいという気持ちの前提となる『私に似合うファッションが欲しい』という上流を押さえることが重要だと考えているからだ。似合うラボでは、スタイリストを巻き込んで似合うの解明に挑んでいるが、なかなかに難しい」と語る。とはいえ、先述の良好なアンケート結果に加えて「似合うラボのサービスの使用前と使用後で写真を撮影しているが、総じて使用後はとてもいい笑顔になる。似合うを届けるということの満足度の高さをあらためて確認できた」(澤田氏)という。

 また、似合うラボによる行動変容でも大きな効果が出ている。サービス体験者1000人のサービス体験から30日間の行動分析データでは、ファッションECサイトであるZOZOTOWNへの訪問頻度が約1.5倍に、ZOZOTOWNでの購入金額が約2倍になった。さらに、半年後になっても購入金額はサービス体験前の数十%増というレベルを維持している。澤田氏は「広告でもこれほどの効果はなかなか実現できない」と強調する。

似合うラボのサービス体験者の行動変容 似合うラボのサービス体験者の行動変容[クリックで拡大] 出所:ZOZO

 なお、会見に合わせて公開された似合うラボの未来構想の動画では、リアル店舗内に設置されたスマートミラーを用いて、似合うラボAIがファッションコーディネートを提案するイメージが描かれており、最後に「for 2026?」と出ていることから、早ければ2026年にもこのような形での実用化を目指していることが示された。ただし、「現在の似合うラボのサービスを担っているのは、AIが2割、スタイリストが8割という状態であり、コスト面からも展開を広げることは難しい。これをAIが8割、スタイリストが2割まで持っていければ、そういったことも可能になるだろう」と述べている。

似合うラボの未来構想動画[クリックで再生] 出所:ZOZO
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