データドリブン経営を支えるデータ活用基盤クラウドERP導入の壁とそれを乗り越える方策(4)

グローバルにビジネス展開をする製造業にとって、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性は高まる一方であり、企業が競争力を発揮するためにはDXへの取り組みが不可欠です。本連載では基幹系DX基盤のあるべき姿と、その実現に向けてポイントとなるソリューションを提案します。第4回ではクラウドERPの導入効果を最大化し、データドリブン経営を実現するデータ活用基盤について解説します。

» 2024年03月01日 10時00分 公開
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データ活用の重要性

 第1回でもお伝えした通り、「世界デジタル競争力ランキング」(2023年)において日本は「ビッグデータとアナリティクスの活用」で最下位でした。国内企業の多くはデータ利活用という分野においてグローバルでみると後れを取っている現状があります。

 外部環境からの脅威や危機を早期に感知するためにはデータの収集/連携やAIによる予測など、デジタル技術を駆使し、データに基づいた意思決定を行うデータドリブン経営が必要とされます。しかし、企業内のデータを活用できる仕組みが整っていなければ適切な意思決定を行えず、データドリブン経営は困難です。企業のダイナミック・ケイパビリティが重要視される時代において、データ活用基盤は必須といっても過言ではありません。企業のあらゆる情報をリアルタイムに統合し、変化に強いデータ活用基盤の実現がデジタルトランスフォーメーション(DX)には欠かせません。

 データの連携、利活用を行う上で、企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。「2023年版ものづくり白書」では下図のデータが提示されています。

 データ利活用への課題としては、データフォーマットの不一致やデータ連携に対する知識や理解の欠如といったシステム面の課題が上位に挙がっています。

図-1 企業におけるデータ利活用の課題 図-1 企業におけるデータ利活用の課題[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

 従来の部門最適を目指したシステム化では、システム間の連携やデータの不整合など、全社の情報を的確に吸い上げ、企業経営に反映することが困難となっていました。

 これらの課題のなかで、システム起因である問題の多くは、SAP S/4HANA Cloudの導入によるDX基盤の構築によって解決できます。部門をまたいで整合性のとれた業務、全体最適のシステムを実現することにより、全社統合されたマスター/データベースのもとで整合性のとれたデータを活用できるようになります。

図-2 SAP S/4HANA Cloud導入によるDX基盤の構築 図-2 SAP S/4HANA Cloud導入によるDX基盤の構築[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

 ただし、データドリブン経営の実現には、ERPの最適化だけでは十分とはいえません。多くの企業の場合、ERP以外の周辺システムや関連会社が持っているデータと連携できなければ、企業経営にデータを活用することは難しいからです。

 企業が持つデータを最大限活用し、データドリブン経営を実現するための手段として、経営状況を可視化する仕組みについて考えてみましょう。

SAP Datasphereによるデータのリアルタイム活用

 最初にご紹介するのは、ERPや周辺システム企業データを集積、つなぎ合わせることができるデータウェアハウス製品であるSAP Datasphereです。

 これまでにも多くの企業はデータ活用を目指し、企業内のデータを蓄積する基盤としてデータウェアハウスやデータレイクの導入に取り組んできました。しかし、さまざまなシステムからデータを1カ所に収集するデータ統合や、標準的なデータへの整形/加工に関わる実装が必要であることから、導入コストが大きいという課題がありました。そして、バッチ連携などによる断面的なデータ連携にとどまっている企業が多いのが現状です。

 このような仕組みでは業務のリアルタイムなデータを活用することが難しく、分析を行う利用者が本当に欲しい「今どうなっているのか?」というデータを見るまでのリードタイムが長いという状況がありました。

 SAP Datasphereは、これらの課題を解消するデータ活用基盤です。

 SAPのみならず、サードパーティーシステムへのコネクターが多数用意されているため、容易に他のシステムと連携してデータを収集できます。さらに、データ統合/加工処理の機能もあるため、あらゆるデータ統合を1つのプラットフォームで完結することができます。また、SAPのデータ仮想化テクノロジーによってリアルタイムなデータ活用が可能となっています。

 SAP Datasphereを介してデータソースシステム上のリアルタイムなデータを参照できるため、利用者はSAP Datasphereにアクセスするだけであらゆる企業内データへアクセスできます。

 さらに、SAP S/4HANAと同じSAP製品であるという親和性も強みであり、データの整合性を崩すことなく高度なデータ分析まで行うことができます。

図-3 SAP S/4HANA Cloudを生かすデータ活用 図-3 SAP S/4HANA Cloudを生かすデータ活用[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

 従来、データを可視化/分析することを目的とした多次元モデルの作成は専門性が高く、データアナリティクスの知見を必要としていました。しかし、SAP Datasphereではノーコードツールによる簡易な操作と分析データを瞬時に確認できるプレビュー機能など、業務ユーザーが見たい分析データを自ら作成することができる機能がそろっています。

 データウェアハウス製品を導入していても、なかなか利用者へ浸透しない、業務部門が要求する分析レポートの作成に時間がかかるといった問題を抱えている企業も少なくありません。

 セルフサービスで柔軟なデータモデリングを可能にすることで、企業のデータ活用は大きく推進されます。

図-4 SAP Datasphereの機能 図-4 SAP Datasphereの機能[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

SAP Analytics Cloudが実現するデータドリブン経営

 SAP Datasphereで統合したデータは、SAP Analytics Cloudと組み合わせることで企業のあらゆる情報を統合して「データに基づく意思決定」を支援するためのプラットフォームとして機能します。

 SAP Analytics Cloudはビジネスインテリジェンス(BI)、予算計画、予測分析をサポートするSaaSソリューションです。

図-5 SAP Analytics Cloudの機能 図-5 SAP Analytics Cloudの機能[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

 特にBI機能では最新の直感的なユーザーエクスペリエンス(UX)によって、可視化されたデータを簡単に素早く読み解くための機能を多く提供しています。

図-6 売上分析レポート例 図-6 売上分析レポート例[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

 何よりSAP Datasphereとの親和性が非常に高く、SAP Datasphereで作成する分析モデル、豊富な分析ロジックをシームレスに参照できます。この2つのソリューションを組み合わせることで、分析データの作成からレポーティングまでを効率的に実行できるデータ活用基盤を実現できます。

図-7 SAP Datasphereによるデータ活用の流れ 図-7 SAP Datasphereによるデータ活用の流れ[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

 SAP DatasphereとSAP Analytics Cloudを組み合わせるメリットは、効率的な分析だけではありません。

 SAP Datasphereでリアルタイムに収集したデータを分析し、SAP Analytics Cloudで可視化することで、今どうなっているか?というデータを根拠としてスピードのある意思決定が可能となります。データによって周囲の変化をリアルタイムに感知/捕捉し、経営の意思決定へ反映する柔軟性/俊敏性を得ることが、ダイナミック・ケイパビリティの実現へとつながります。近年、外部環境の大きな変化に影響を受けている製造業にとっては大きなメリットではないでしょうか。

 基幹系DX基盤としてのSAP S/4HANA Cloudとともに、DXの効果をより高め、リアルタイムなデータドリブン経営を可能とするSAP Datasphere、SAP Analytics Cloudを活用することがDX時代に最も適したITシステムとなります。

図-8 SAP S/4HANA Cloudを活用したデータ活用基盤の目指す姿 図-8 SAP S/4HANA Cloudを活用したデータ活用基盤の目指す姿[クリックして拡大] 提供:NTTデータGSL

おわりに

 今回はデータ活用基盤であるSAP Datasphere、SAP Analytics Cloudについてご紹介しました。また、本連載では前回までにクラウドERPのSAP S/4HANA Cloud導入と、それを支えるSAP BTPについて解説しています。今回お伝えすることができたのはほんの一例であり、このほかにもさまざまな課題を抱えている企業に対して、NTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータGSL)はより最適なソリューションを検討し、提供することができると考えています。

 NTTデータGSLは、製造業に携わる企業のDXを推進し、支えるためのサービスを提供しています。ご興味のある方は個別にぜひお問い合わせください。

 ここまで4回にわたり、SAPソリューションを活用した企業IT基盤のあるべき姿について解説しました。このシリーズが、DXに取り組む皆さまの課題解決の糸口になれば幸いです。

※本記事は、NTTデータ グローバルソリューションズより提供された記事を許諾を得て再構成したものです。

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提供:株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2024年3月20日