本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第11回は、PLMに求められる機能の歴史を解説する。
前回に引き続き、グローバル製造業の経営企画部門に所属する音更しほさんと、経営コンサルタントの鹿追然さんによる、BOMやPLMの議論を見ていきましょう。前回はBOMの基礎知識と製造業で要求される業務機能の変化がテーマでしたが、今回は「DX時代におけるPLMの進化」を話すようです。
それではセッションスタートです。
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音更しほ(おとふけ しほ):大学の工学部を卒業後、とあるグローバル製造業の経営企画部門に配属された入社3年目の社員。会社の戦略で、グローバル製品開発を可能にする情報基盤の企画を担当することに。PLMやBOMについて勉強中。
鹿追然(しかおい ぜん):製造業特有の業界事情に詳しく、製品開発やPLM、サプライチェーンマネジメント(SCM)の業務改革経験も豊富。経営コンサルティング会社「鹿追コンサルタント」を率いる。
(※)編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
鹿追さん、お久しぶりです! このところPLMの企画プロジェクトが忙しく、2カ月ほど時間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。
忙しいのは何よりです。ところで、その企画プロジェクトではどんなことが話題になっているのですか?
当社では設計部門の技術情報管理のため、10年くらい前にPDMシステム(製品データ管理システム)を導入しました。最近、そのPDMシステムに営業や工場、保守部門で作成されるドキュメント情報を統合して管理することで、業務の効率化を図りたいという要望が高まっているんです。
あとは、保守業務へのBOMの活用なども話し合っていますね。
まさに「PDMからPLMへの進化」がメインテーマになっていますね。最初に仰ったドキュメントの統合管理がクローズアップされている理由は何ですか?
現在、各部門が作成したドキュメントは、それぞれの部門のファイルサーバにデータとして保管されている他、キャビネットに紙資料の形で保管している場合もあります。他部門のドキュメントを見たければ、その都度、ドキュメントを持つ部門担当者に依頼する必要があります。
また、知らない間にドキュメントが更新されているという問題もあります。自身が得たドキュメントが古いものと知らずに業務を実施してしまう例もあり、業務品質の低下が指摘されています。
ドキュメントの全社共有は、PLMシステムの得意とするところですね。保守業務のBOM活用の方はどうですか?
当社では製品を出荷した後、顧客と保守契約を結びます。ですが近年、契約件数が急増して保守部門の業務負荷が高くなっているんです。出荷した製品構成(BOM)が分かっていれば、部品の交換時期が予測できます。攻めの保守、つまり提案型サービスが行えるそうです。
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