増えない私たちのお給料、約20年間で男性の平均給与はこんなに下がった!小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(5)(1/3 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。第5回では、給与水準を性別や年齢層別に分けて統計データを見ていきます。

» 2022年12月01日 06時00分 公開

私たちの給与水準は下がっている!?

 今回は、私たち労働者のお給料に関する統計データをご紹介します。見ていくのは、民間企業に勤めている労働者の給与や労働者数をまとめた、国税庁の民間給与実態統計調査となります。

 以前の連載では、全世代合計の平均給与についてご紹介しました。私たち労働者の平均給与は1997年がピークでその後は減少している、というショッキングな結果に驚かれた方も多かったようで、大変大きな反響があったようです。

 私も今まで多くの統計データを見てきましたが、労働者のお給料が減っているというのは日本特有のもので、最も大きな課題だと感じています。ただ、前述の記事掲載後には読者から、「平均給与が減っているのは、比較的給与水準の低い女性や高齢の労働者が増えたからではないか」といったご指摘もいただきました。

 そこで今回は世代別、男女別に平均給与を見ていく事で、その答えも明らかにしつつ、より詳細な課題の共有ができればと思います。

約20年間で50万円以上減る世代も

 まずは、男女合計の世代別平均給与の推移から眺めてみましょう。

図1:男女合計での年齢階層別平均給与(民間給与実態統計調査を基に筆者が作成)[クリックして拡大] 出所:小川製作所

 図1が「1年勤続者」の男女合計の世代別平均給与の推移です。ここでいう1年勤続者とは、12カ月間しっかりと働いた人だけを対象としているということです。

「各年の1月から12月まで引き続き勤務し、給与の支給を受けた月数が12カ月の者をいう」

(民間給与実態統計調査の「用語の解説」より引用)

 各世代とも1997年までは給与は増加傾向にありましたが、それ以降は減少しています。2009年がボトムラインになって近頃は増加傾向となっていましたが、1997年の水準を超える前に、また減少に転じてしまいました。

 もう少し詳しく変化を見てみましょう。表1が1997年と2020年の平均給与の比較です。

表1:年齢階層別の平均給与(男女合計)
世代 1997年 2020年 変化量
20代 336.4万円 323.2万円 -13.3万円
30代 473.9万円 419.7万円 -54.2万円
40代 529.7万円 485.5万円 -44.2万円
50代 557.9万円 516.1万円 -41.8万円
全年代平均 467.3万円 433.1万円 -34.2万円

 ご覧の通りどの世代でも平均給与が減少していて、平均すると年間で約34万2000円もお給料が減っていることになります。特に30代では50万円以上も減少しています。大変ショッキングな結果ではないでしょうか。

 40代は2009年以降に増加する様子がみられず、ほとんど横ばいで推移しているのも特徴的ですね。確かに、比較的給与水準の低い高齢労働者が増えて平均値が下がっている面もあると思いますが、それ以上に各世代で平均給与が下がっているというのが実態に近いようです。

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