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» 2022年03月02日 10時00分 公開

広がる工場の無線化、配線レスやモビリティ活用などの価値を得るために必要なもの工場ネットワーク

スマート工場化が加速する中で「工場内ネットワークの無線化」に大きな注目が集まりつつある。さまざまな価値を生む無線化だが、実現するためにはさまざまな安定性や信頼性など課題も存在する。これらの課題を解決する仕組みや考え方について、工場向けネットワークへの取り組み強化を進める日本ヒューレット・パッカード Aruba事業統括本部 ビジネス開発営業本部 本部長の安藤博昭氏と、同第二技術部 部長の天野重敏氏、MONOist編集長の三島一孝が鼎談を行った。

[PR/MONOist]
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 製造現場でIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)など、先進デジタル技術を活用するスマート工場化が加速している。ネットワーク活用を前提としたこれらの技術が浸透する中で大きな注目を集めているのが、工場ネットワークの無線化である。無線化を行うことで、工場内のケーブル配線を減らすことができる他、AGV(無人搬送車)やハンディターミナルなどのモビリティの活用、配線が難しい位置への機材設置などさまざまなメリットがある。

 一方で、無線ネットワークの活用は、安定性や信頼性、安全性の面での懸念もある。これらを踏まえて、工場の無線化における課題やそれを解決する技術、また無線化を進める中で必要なマインドセットについて、工場内ネットワークでさまざまな実績を持つ日本ヒューレット・パッカード Aruba事業統括本部(以下、HPE Aruba)ビジネス開発営業本部 本部長 安藤博昭氏と、同第二技術部 部長の天野重敏氏、MONOist編集長の三島一孝が鼎談を行った。

配線レスやモビリティ活用など高まる工場の無線化ニーズ

三島 スマート工場化を背景に、工場での無線の活用ニーズが広がりを見せています。無線化に対するユーザーの反応や、現場での無線活用の動きについてどう感じていますか。

photo HPE Aruba ビジネス開発営業本部 本部長 安藤博昭氏

安藤氏 これまで工場では「無線で本当に大丈夫なのか」と、無線化に対してあまりポジティブな反応ではありませんでした。しかし最近では、無線化して高額な光ファイバーケーブルの配線を減らすという、コスト削減の観点での受注が増えています。工場内でケーブル配線を変更する負荷もないため、レイアウトの自由度も高まりラインの組み換えも簡単にできるなどのメリットも出ていると感じます。

天野氏 無線ネットワークを前提とした新たな技術の採用が増えている点も後押ししていると感じています。AGVなどの移動体の活用や、有線では設置が難しいIoTセンサーやデータ収集用端末などを設置したいニーズも増えてきています。現状では、無線ネットワークの導入においては、現場で使うハンディターミナルやハンディプリンタで活用されるケースが多くなっていますが、その用途は現在拡大を続けているといえるでしょう。ローカル5Gは導入コストがまだ高いこともあって普及しているとはいえませんが、Wi-Fiを中心に今後さらに無線ネットワークを前提として使用できる機器やソリューションが増えてくるでしょう。

製造現場ならではの無線化の課題も

三島 無線ネットワークの活用を進める中でどういう課題があると考えていますか。

安藤氏 安定性とセキュリティの問題はやはり考えなければならない点です。特に、無線ネットワークの場合は、有線ネットワークとは違い、見ただけでは接続されていても分からないという点が問題を大きくしています。例えば、工場内では無線ネットワークにおいて電波干渉が発生する場合も多いですが、それには許可なく取りつけられた“野良”の端末やアクセスポイントなどが影響を与えるケースも多いのが現実です。そういう意味では、信頼性や安定性を確保するためにも「しっかり管理する」ということが重要になってきます。

photo HPE Aruba 第二技術部 部長 天野重敏氏

天野氏 私は顧客企業の現場に入ることが多いのですが、工場ならではの特徴として、現場をしっかり見ないとネットワークの安定性を確保できないという点があると感じています。例えば、電波が届く距離を計算して工場内にアクセスポイントを設置しても、大きな機械がある場合にはその裏側の電波が弱くなるというケースもあります。また、ハンディターミナルを含むIoT関連機器は、メーカーによって反応が異なることがあり、どういう機器がありどういうネットワーク品質が必要なのかを把握しなければ、トラブルにつながるケースもあります。そもそも工場内に新旧の機械が混在している場合も多くあり、その場合には細かい設定のチューニングが必要になります。こうした安定性が求められる一方で、環境や機器が一定ではないという点が注意すべき特徴です。

管理者が無線環境をきちんと用意する

photo MONOist編集長 三島一孝

三島 無線ネットワークそのものの課題に加えて、製造現場ならではの問題点もあるということですね。こうした課題をどのような考え方や仕組みで乗り越えればいいと考えますか。

安藤氏 工場内でも使用できる無線ネットワークの課題をクリアするために、さまざまな技術検討や知見の集積が進められています。工場内の環境は一定ではなく、規制やガイドラインだけでは求める効果が得られないような場合も多く存在します。こうした規制や規格の“穴”を埋めるノウハウがより重要になってきます。

 われわれはこれまでにネットワークの専門家として工場ネットワークでもノウハウを蓄積してきました。その中で、規格では補えない“穴”をカバーする技術を用意してきています。例えば、安定性については「ClientMatch」という無線通信を安定させるための特許技術があり、評価を頂いています。これは無線接続状況を把握し最適なアクセスポイントに誘導することで通信品質を保つという製品ですが、これらのように変化する環境でも最適化できるような技術が求められています。

 また、セキュリティに関しては、基本的には「不正なものはつながせない」という考え方が重要です。これは前回お話した「無駄な通信をさせない、行ってはいけないところに行かせない」という話と同じです。特に先述した通り、無線はアクセスポイントを設置すれば簡単にネットワークに入れてしまうため、このルールが破られやすい環境にあります。そのため、きちんとした監視や管理が重要になります。

天野氏 加えて、事前に現場の状況を把握して適切にアクセスポイントを設置することも重要です。オフィス環境とは異なり、工場ではフロアマップだけを見てアクセスポイントの場所を決めるのでは不十分です。また、端末によっては挙動に違いが出るため、事前の検証も不可欠です。現場を見てしっかり設計した上で適切な機器を設置することで、後々のトラブルは防ぐことができます。

安藤氏 強調しておきたいのは「管理者が無線環境をきちんと用意すること」が重要だということです。ここまでの話で出てきたように、現場において無線ネットワークでできることは増えてきています。ここで従来通り「無線ネットワークは禁止」としても、管理が行き届かないところで勝手に使用される“野良”端末が増えてしまう結果になります。その意味でもしっかり管理された形で管理者側が無線ネットワークを用意し、ルールを策定していくということが重要です。「無線はきちんと用意しますので、その代わりにこう使ってください」という形とすることが、安全で安定した無線ネットワーク環境の第一歩だと考えます。

三島 ありがとうございました。

安定かつ安全な工場の無線化を実現するHPE Arubaのソリューション

 ここまで見てきたように、工場のネットワーク無線化を実現するためには「安定性」や「セキュリティの確保」など乗り越えなければならない課題がいくつかある。これらを解決すべく、HPE Arubaはさまざまな機能やサービスを提供している。

安定した無線通信を実現する特許技術「ClientMatch」

 安定性を確保する上で活躍が期待されるのが、HPE Arubaの特許技術「ClientMatch」である。「ClientMatch」は端末を最適なアクセスポイントへと誘導することにより、無線通信を安定させる技術だ。コントローラーとアクセスポイントが常に連携し、リアルタイムで電波状況やアクセスポイントの負荷をチェックする。電波出力や周波数チャネルなどの調整だけでなく、いつでも最適な接続へ誘導する。

 2.4GHz帯と5GHz帯が使用可能な場合によりクリーンな5GHzに誘導する「バンドステアリング」や、高密度環境においてより負荷の少ないチャネルを選択する「ロードバランシング (帯域負荷分散)」、遠くのアクセスポイントにつながっていることで通信の状態が悪い状態にあるデバイスを、より近くのアクセスポイントに動的にマッチングさせる「スティッキークライアント」などの機能を備えている。

photo 「ClientMatch」によるローミングの仕組み[クリックで拡大] 提供:HPE Aruba

不正アクセスポイントにつながせない

 ネットワークのセキュリティ担保のためには、状態を把握できるツールが不可欠だ。HPE Arubaでは有線/無線ネットワークを構成、監視、維持するためのマルチベンダー管理プラットフォームにより、ネットワーク上のデバイス、ユーザー、アプリケーションを細かく可視化し、あらゆるメーカー製品の無線/有線ネットワークを一元管理できる。

 Arubaの管理システムではさまざまな機能が搭載されている。「AppRF」は、ネットワーク上で実行されているアプリケーションやロール、デバイス、ユーザーの位置などをさまざまな形で可視化する。数多くのアプリケーションを識別し、高リスクサイトへのアクセスを制御することも可能だ。モバイルアプリの使用状況のほかに無線ネットワーク上でのパフォーマンスもダッシュボードで確認し最適化できる。

 さらに、無線において、IT管理者の許可を得ずにエンドユーザーが勝手に設置する“野良”アクセスポイントは大きなセキュリティホールになる。この不正なアクセスポイントを検出することも可能だ。無線区間と有線区間をスキャンして検出したアクセスポイントをセキュリティポリシーに従って4段階に識別し、必要があれば不正なアクセスポイントとの通信を遮断する「隔離」もできる。不正なアクセスポイントだけではなく、不正なクライアント検出も可能だ。

photo 不正なアクセスポイントを“つながせない”仕組み[クリックで拡大] 提供:HPE Aruba

迅速なトラブルシューティングが可能な「AI Insights」や「UXI」

 また、製造現場にとって最も重要なのはトラブルが起きた際にいち早く復旧し最適なパフォーマンスに戻すということだ。可視化だけでは不十分で、対応策を示すことが求められる。その意味で活用できるのが、複数拠点にまたがるネットワークの設定や監視を一括で行えるツール「Aruba Central」に搭載されている「AIOps」だ。「AIOps」に含まれる「AI Insights」は常時監視によりベースラインとの比較を行い、有線、無線、WANのさまざまな問題点をいち早く発見する。トラブルが起きた場合には、その原因や直すべき箇所などを的確に判断し速やかな対処をサポートする。その他、トラブルを事前に予防し、ネットワークの継続的な最適化に必要な分析やデータ、推奨事項の提供も行う。

photo 「AIOps」により異常箇所の発見と対策の提示が同時に行える[クリックで拡大] 提供:HPE Aruba

 さらに、ネットワーク環境によっては計測値とパフォーマンスがユーザーの体感と異なる問題なども発生するが、ユーザーのアプリケーション操作をシミュレーションし、ユーザーが感じているネットワーク品質を可視化するサービス「無線LAN快適度センサー監視サービス」を提供している。現地に置いた「ユーザー・エクスペリエンス・インサイト(UXI)」センサーによりユーザー視点でのパフォーマンスを把握できる。センサーではエンドユーザーや端末が実際に行っているアプリケーションを実行し、クライアント視点で確認と切り分けを行う。問題があった場合には、Wi-Fi、認証部分、DNS、途中のネットワーク、アプリケーションを提供するSaaSやサーバなどのどこに原因があるのかをより正確に切り分けられる。

 この他、HPE Arubaは無線ネットワークの導入前から導入後の支援サービスまでを行う「ハイタッチサービス」も提供。HPE Arubaが持つ豊富な経験やベストプラクティスを基にした最適なネットワークを設計から支援する。さらに、既存のサポートシステムとのスムーズな統合も実現する。

 ここまで見てきたように、工場内ネットワークの無線化には大きな注目が集まっている。今後は5Gを含むさまざまな技術の適用が期待されており、将来を見据えた無線化を視野に入れているのなら、これまで数多くの実績があり、構築から運用まで一貫したノウハウを持ったHPE Arubaに相談してみてはいかがだろうか。

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提供:日本ヒューレット・パッカード合同会社
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2022年3月16日