工場や倉庫内でIoTやAIなど先進のデジタル技術を活用したスマート化が加速している。しかし、その一方でボトルネックとなっているのがこれらのネットワーク環境である。スマート化により再整備が進もうとしている工場のネットワーク環境の課題と解決策について紹介する。
スマート工場(スマートファクトリー)化など、工場や倉庫のデジタル技術活用が加速している。しかし、これらを活用する中でボトルネックとして課題となってきているのが、工場内のネットワーク環境の問題である。
従来工場ではネットワークの使用は一部に限定されており、工場で使用する機器や設備もネットワークの共有を前提としたものではないものが多い。こうした中でIoT(モノのインターネット)活用などにより、接続数、接続機器の種類、使用データ容量が大幅に増加している。また、利用形態も移動しながら使うようなものも増えており、一部のネットワーク環境に大きな負荷がかかっている。これらが、予期せぬ停止につながったり、データがうまく取得できなかったりするケースも生まれている。
一方で、ネットワークへの接続が増えたからこそ生まれた問題が、サイバーセキュリティの問題である。従来の工場では外部とのネットワーク接続のない閉鎖環境が多く、サイバーセキュリティ対策を行っていないところがほとんどだ。しかし、スマート工場化で工場内のさまざまな機器が外部ネットワークとの接続を前提とするようになると、サイバー攻撃のターゲットとなり得る。無防備な状況では攻撃を受けるだけになるが、工場の各機器に生産性を犠牲にするセキュリティ対策を行うことはできない。そこで、ネットワーク機器でセキュリティを確保することが求められているわけだ。
こうした課題を解決するために、工場内のネットワーク環境を再整備しようという動きが急速に高まっている。しかし、いざ取り組もうと思っても一筋縄にいくものでもないのが難しい点だ。工場特有の条件から、対応するネットワーク機器が限定され、期待するような環境構築ができない場合があるからだ。
例えば、無線ネットワークでは移動体での活用やケーブル配線に左右されない自由な環境構築が期待されているが、工場内で活用するためには「過酷な環境」に合わせた機器が必要になる。ただ、防塵や防水、防爆などの要求に応える機器やソリューションが限られる問題がある。また「広大な敷地」を持つ工場では、気候や時間帯によって環境も変わり、安定したネットワーク環境を構築するために最適な環境構築ができない場合がある。さらに、先述したように工場内では「多彩な機器」が、さまざまな通信規格で稼働しており、一元的に制御しデータを収集したり活用したりすることが難しい場合もある。また「スマートファクトリー」化に向けたセキュリティポリシーの用意なども必要となる。
これらの工場特有の課題などに対応した機器やソリューションを整備し、工場向けネットワーク構築の提案を強化しているのが、日本ヒューレット・パッカード Aruba事業統括本部(以下、HPE Aruba)である。
HPE Arubaはネットワーク機器やソリューションを展開するネットワークベンダーだが、ITおよびオフィス向けから、現在は工場など産業向けネットワークへの取り組みを強化しており工場特有の環境に応じた機器やソリューションをそろえている。
工場の「過酷な環境」に対しては、耐環境性を高めたアクセスポイントなどを用意する。屋内耐環境用アクセスポイント「AP-518」や屋外用耐環境用アクセスポイント「AP-570シリーズ」などを既に展開している。さらに耐環境用有線スイッチも2021年秋ごろに販売開始予定だという。
「広大な敷地」への対応としては、メッシュアクセスポイント機能を用意する。アクセスポイントまでのケーブル配線が難しい場合でも、アクセスポイント同士がメッシュリンクを行うことで、どこでも無線通信を行える仕組みだ。また、敷設範囲が広がれば通信品質にムラが出てくるが、これらを最適化する「ClientMatch」という機能なども備えている。自動で最適な周波数帯を選択し、負荷の少ないチャンネルや最適なアクセスポイントなどを自動選択する。接続済みの端末も動的にアクセスポイント間を移動でき、AGVやフォークリフトなどの移動体でも、途切れにくい通信接続を実現する。
工場間で稼働している「多彩な機器」に対しては、接続デバイスの検知とプロファイルを自動で行う仕組みを展開する。スマート工場化が進む中で、工場内でどういう機器がどのように接続しているかを把握できない状況が生まれているが、これらを自動で行うことで、接続機器の情報を一元管理することが可能となる。これにより、分析結果に応じた対応を行える。
これにより「スマートファクトリー」で求められるような機器ごとのセキュリティポリシーの設定が可能となり、工場内ネットワークごとに区分けするゾーニングなどを厳密に行わなくても機器ごとに管理することが可能となる。日本ヒューレット・パッカード Aruba事業統括本部 ビジネス開発営業本部 本部長 安藤博昭氏は「これらの取り組みを現場に負担のない形で実現できることが特徴です」と語っている。
人手不足やコロナ禍の影響などにより、製造業にとって、工場のデジタル化やスマート化は必須となりつつある。しかし一方でその土台となるネットワーク環境の整備はまだまだ進んでおらず、多くの製造業でまだまだ未整備だ。そして実際に取り組むと、工場として求めるニーズとネットワーク機器で折り合いの難しい領域などもある。ただ、この中で、HPE Arubaでは、工場内の過酷な環境や条件に適合した機器やソリューションを準備し、工場向けネットワークへの取り組みを強化しているところだ。工場ネットワークの整備で悩みを抱えているのであれば、良い相談相手になることだろう。
工場向けネットワークでは、過酷な環境や求められる通信品質、セキュリティなど、さまざまな厳しい要件がある。これらに加えて、工場が求める生産性や可用性などの要求に応える性能や冗長性が必要となっている。HPE Arubaではネットワークベンダーとしての通信品質はもちろんセキュリティ対策や、工場特有の多彩なソリューションを用意し、スマート工場化を支援している。
以下のWebサイトではHPE Arubaの充実した取り組みが紹介されている。工場ネットワークに課題を抱える製造業はぜひ参考にしてみてはどうだろうか。
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