サトーは2021年9月28日、電池レスのIoTセンシングデバイスなどを開発するイスラエルのスタートアップWiliotと、スマートリテール分野での戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。B2B2C領域での事業展開を加速する狙いがある。
サトーは2021年9月28日、電池レスのIoT(モノのインターネット)センシングデバイスなどを開発するイスラエルのスタートアップWiliot(ウィリオット)と、スマートリテール分野での戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。WiliotのIoTデバイスを活用したソリューションの開発によって、B2B2C領域での事業展開を加速する狙いがある。
パートナーシップ契約はサトーとWiliot間で2021年7月に締結したもので、契約期間は3年間だとしている。両社間で小売業界における市場リーダーシップを確立するための取り組みを進めることを目的としており、Wiliotは必要な技術開発を、サトーは小売業界向けのソリューション開発をそれぞれ担う。なお、契約を通じてサトーが最終的に目指す事業成果や具体的な売り上げ目標については非公開とする。
サトーはバーコードや2次元コード、RFIDなど、モノや人と情報を結び付ける“タギング技術”を強みとする企業で、小売りや物流、製造業などさまざまな業種でソリューションを提供してきた実績がある。現在、同社が新たな事業展開先として注目しているのが、小売店舗の利用客などを対象とするB2B2C領域だ。
B2B2C領域に注目する理由について、サトー 代表取締役社長の小沼宏行氏は「これまで当社は工場や倉庫、店舗内でのモノや人のトラッキングを目的としたソリューションを提供してきた。一方で、最近ではメーカーや小売業者において『消費者の嗜好の多様化をより深く把握したい』『商品の使われ方を理解したい』といったニーズが増加している。当社の知見を活用することで、こうした消費者や購入後商品のトラッキングという需要にも応えられると考えた」と説明する。
そして、B2B2C領域でのパートナーとしてサトーが期待を寄せるのが、今回パートナーシップ契約を締結したWiliotである。同社はイスラエルに拠点を置くスタートアップで、環境発電で駆動するIoTセンシングラベル「Wiliot IoT ピクセル(以下、IoT ピクセル)」などを開発している。2021年7月にはソフトバンクグループ傘下の投資ファンドから約220億円の調達を行った他、アマゾンウェブサービス(AWS)やNTTドコモ・ベンチャーズからも出資を受けるなど世界的な注目度も高い。
IoT ピクセルは周囲の電波を活用した発電を行うことで、駆動時のバッテリーを不要化している。ラベル状で薄く、消費財などに貼り付けて使用する。Bluetoothによってスマートフォンなどの端末機器とも通信できる。通信可能距離は使用環境によって異なるが目安として約8mだという。センサー上で収集したデータを基にAI(人工知能)アルゴリズムによる解析などを行うことで、貼り付けた製品の位置や温度、動き、容量変化などの情報を取得できる。
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