大成建設とソフトバンクは、5Gとロボットアームによる遠隔操作システムを活用した、細胞培養工程のピペット操作に成功した。東京・大阪間での実証実験により、遠隔地からのロボットアーム操作とピペット作業の正確性などが確認できた。
大成建設は2021年5月10日、ソフトバンクと共同で、5Gとロボットアームによる遠隔操作システムを活用した、細胞培養工程のピペット操作に成功したと発表した。東京・大阪間で行われた実証実験により、遠隔地からのロボットアーム操作とピペット作業の正確性などが確認できた。
実験では、ソフトバンクの新本社ビル「東京ポートシティ竹芝」(東京都港区)と「5G X LAB OSAKA」(大阪市住之江区)を5Gネットワークで接続。ロボットアームに改良型ピペットを搭載した遠隔操作システムを使用し、大阪に設置した細胞培養器具を東京から遠隔操作した。
5Gを活用することで、リアルタイムに高画質映像を伝送できるため、大阪に設置した培養液や細胞の様子を確認しながら、正確なピペット操作を東京から実施した。また、大阪のロボットアームに低遅延で動作指示が届くなど、全過程でスムーズに操作できた。
遠隔操作中のロボットアームやピペットのデータは、リアルタイムで記録、蓄積できる。その詳細データを用いてロボットアームの任意の動作を選択し、遠隔から自動的に再現することも可能だという。
両社は今後、ピペット作業で取得した熟練培養士の操作データを、マルチモーダルAI(人工知能)に学習させる取り組みも検討する。マルチモーダルAIは、動作に必要なデータをニューラルネットワークによって連動させ、動作データとして認識させることで自らの判断で動作可能となる。
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