ありがたや、ECサイトの「星1」レビュー(?)モノづくり総合版メルマガ 編集後記

Amazonの「星1レビュー」、どのくらい参考にしてますか?

» 2021年03月11日 12時00分 公開
[池谷翼MONOist]

 この記事は、2021年3月11日発行の「モノづくり総合版 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。


 製品に寄せられる「否定的なレビュー」はメーカーにとって耳が痛いものです。が、同時に、今後の製品開発やマーケティングの方針を検討する上で重要な存在でもあります。ではこの否定的なレビューを集める場としては、リアル店舗とECサイトのどちらが適しているのでしょう。

 疑問を抱くようになったきっかけは、米国発スタートアップのb8ta(ベータ)への取材でした。b8taはいわゆる「体験型店舗」の先駆けといわれる企業です。簡単に言うと、体験型店舗は製品に触れた来店客のリアルな“生の声”を集めてメーカーに提供します。店舗を単なる「売るための場所」ではなく、製品フィードバックを収集する接点と見なしている点がポイントです。

 b8taでは新製品や新技術をショールーム形式で展示しており、AIカメラで来店客の属性や店内行動を収集し、そして店舗スタッフが顧客の“生の声”を直接ヒアリングします。これらのフィードバックを基に、メーカーは製品開発やマーケティング施策の立案に生かすのです。

b8taの有楽町店内観*出典:b8ta[クリックして拡大]

 取材の中で、メーカーがb8taを利用する最大のメリットについて、b8taの担当者は「『製品を買いたくないと思った人』の意見を直接収集できることだ」と説明しました。店舗スタッフは製品に関心を持った来店客に「売られていたら買いたいと思うか」とヒアリングします。答えがNOであればその理由を詳しく聞き、メーカーに送るというわけです。

 同担当者は、こうしたメリットはリアル店舗ならではのものだと指摘します。「AmazonなどのECサイトでは、買いたくないと思った顧客はサイトから離脱する。追いかけて買わない理由を聞くのは至難」(b8taの担当者)だからです。

 しかし話を伺いながら、私の頭の中には「こうした否定的な意見を集めるのは、やっぱりECの方が向いているのでは?」と素朴な疑問が湧いていました。

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