　セールスフォース・ドットコムマーケティング本部プロダクトマーケティングシニアマネージャーの大森浩生氏は「製造業にもデジタル変革の波が押し寄せ、サービス化への検討が進んでいる。しかし、これらの取り組みは必ずしもうまくいっているところだけではない。前提として『顧客体験』を基軸とした、思考の変革や体制の変革が必要となる。手法や課金体系ではなく、体験を通じて顧客の感情をいかに高められるのかをベースとしなければならない」と思考の転換の必要性を訴える。

　「顧客体験」「顧客価値」をベースに考えた場合、「顧客を知る」ということが重要になり、顧客との関係性や接点を変える必要性が出てくる。セールスフォース・ドットコムは、顧客との接点情報を活用する「CRM（顧客関係管理）」の大手ベンダーだが、これらをベースにIoT情報を組み合わせていくことでさらに高度な「顧客価値」創出を訴え、国内の導入事例を紹介した。また、セールスフォース・ドットコムソリューションセールスエンジニアリング本部サービスクラウドソリューション Service Cloud Specialist 大辻寛氏によるスマートマンションをイメージしたアフターメンテナンスの高度化のデモも行った。

DX成功事例を紹介したマイクロソフトと東京エレクトロンデバイス

　日本マイクロソフトと東京エレクトロンデバイス（以下、TED）は「世界と日本の事例から見えてくる、IoTを活用した製造業のイノベーションとは」をテーマに、マイクロソフトのクラウド基盤「Microsoft Azure（以下、Azure）」を活用したグローバルでの成功事例を紹介するとともに、東京エレクトロンデバイスがかかわる国内の活用事例について説明した。

日本マイクロソフト IoTデバイス本部 Azure担当部長村林智氏

　マイクロソフトはグローバルでも「Intelligent Manufacturing」として、デジタル技術を活用した製造業の変革支援をテクノロジーパートナーとして積極的に進める方針を示す。マイクロソフトの製造業向けソリューションの強みは、「Azure」によるクラウド関連のソリューションとともに、Windowsや組み込み技術などのエッジ関連の技術を持つことが特徴で「インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジ」を訴求する。その中で製造業向けで、工場やサプライチェーン、製品、フィールドサービスなど、7つのシナリオを描き、具体的な提案を進める。コマツやDMG森精機、久野金属工業、スイスのBUHLER（ビューラー）、スペインのSiemens Gamesa（シーメンスガメサ）などの事例を紹介した。

　これらの実績を生かし、シナリオに合わせた製造業向けのリファレンスアーキテクチャも用意する。日本マイクロソフト IoTデバイス本部 Azure担当部長村林智氏は「より短いサイクルで継続的なイノベーションを実現できる」とその価値について語っている。

TED クラウドIoTカンパニーエンベデッドソリューション部西日本営業グループグループリーダーの石丸浩氏

　一方、「Azure」のCloud Solution Provider（CSP）プログラムに参加し多くの製造業向けソリューションを展開してきたTEDは、日本マイクロソフトと共にIoTビジネスのコミュニティー活動である「IoTビジネス共創ラボ」の幹事会社として、製造業のIoT活用に関わってきた。

　その例として、コンテックの小牧工場の導入事例などを紹介。工場内の既存設備に温湿度センサーなどのIoTデバイスを設置し、現場データをリアルタイム収集し「見える化」を実現した。その他、ダイヘンにおける産業用ロボットのリモートメンテナンスソリューションの事例を紹介。TED クラウドIoTカンパニーエンベデッドソリューション部西日本営業グループグループリーダーの石丸浩氏は「技術だけではなく製造業で本当に役立つソリューションは実現できない。共に寄り添って課題解決を進めていく」と語っていた。

製造業のサービス化や5G、ARへの取り組み

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