IoT活用は、より安く、より簡単に、成果への最短コースを実現する組み方とは製造業IoT

製造業のIoT活用が広がりを見せている。スマート工場化など工場内での利用が先行するが、製品のIoT化によるデータ活用を新たな効率化や付加価値向上につなげる動きも盛り上がり始めた。そこで障壁となるのがデータ活用基盤の準備やデータ連携、接続などの負担だ。スピード感を持ってこれらのデジタル変革に取り組むにはどうしたらよいのだろうか。

» 2019年02月05日 10時00分 公開
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 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)関連技術などを活用した製造業のデジタル変革の動きが活発化している。工場内で活用するスマートファクトリー関連の動きが前のめりで進んでいるが、製品がIoT化することによって得られるデータを活用した“価値”をサービスとして提供するサービス化の動きも活発化してきている。

 ただ、こうした取り組みで本当に価値を得るためには、データを取得するセンサーや、それらからIoTやさまざまなネットワーク技術によりデータを吸い上げる仕組み、データを蓄積する仕組み、そのデータを分析する仕組み、そしてそれを現実世界にフィードバックする仕組みなど、幅広い技術群が必要になる。

 そこで重要になるのが、自分たちの事業領域を協調領域と競争領域に分け、協調領域についてはできる限り、他社との共創を進めていくという考え方だ。

 製造業のIoT活用はさまざまな領域で進んでいるが、その価値の本質は、製品やそれにつながるモノづくりの領域にある。そういう意味では、IoTを活用するために必要なデータを吸い上げる仕組みや、蓄積する仕組み、それらを守るセキュリティなどについては、この価値の本質からは少し離れており、ここを協調領域と捉えることもできる。価値の本質ではないこれらの領域については、他社とのパートナーシップなどでより早く、簡単に実現し、その先の本質的な価値に対する取り組みを強化するということが求められている。

協調領域を「より早く、より安く、より簡単に」実現

 こうしたIoTの協調領域を「より早く、より安く、より簡単に」カバーし、IoTによる成果を早期に得られるようなIoT基盤を提供しているのが、クラウドインテグレーターのアジュールパワーである。

 アジュールパワーは2015年3月設立のスタートアップである。日本マイクロソフトのクラウド基盤「Microsoft Azure(以下、Azure)」をベースとして、さまざまなクラウドソリューションを展開している。さらに2017年から新たな提案としてクラウドを活用したIoTプラットフォーム事業に乗り出した。

 同社が展開するIoTプラットフォームが「Power IoT Platform」である。「Power IoT Platform」は、Azure上で動作し、拡張性、可用性、柔軟性が高いクラウドネイティブなIoTプラットフォームとしている。データを収集、蓄積するだけでなく「いかに活用するか」を目的と位置付けている点が特徴だ。

photo 「Power IoT Platform」のサービス概要(クリックで拡大)出典:アジュールパワー

 同プラットフォームには「主に4つのポイントがあります」とアジュールパワー 代表取締役社長の橋口信平氏は述べる。

photo アジュールパワー 代表取締役社長の橋口信平氏

 1つ目が、クラウド側にプロトコル変換機能を備えているため、IoTデバイスがバラバラのプロトコルでもそのままでクラウド上で連携できる点である。IoTで価値を得るためにはまずは現場データを取得し、データ連携を実現できるかどうかが重要だが、現実的には現場のプロトコルがバラバラであるためにこの最初の一歩ででさえ難しい状況がある。しかし、「Power IoT Platform」を活用すれば、現場側のプロトコルがさまざまなものであることを気にすることなく一括してデータを集められる。橋口氏は「最短で10営業日以内に50万円〜であらゆるセンサーデータを取得できます」と利点を語る。

 2つ目が、閉域接続できる専用SIMを提供している点だ。産業用IoTにおいてはそもそも現場などから得られたデータを外部に出したがらない傾向があり、セキュリティ対策が必須となる。そのため、クラウド環境と容易に接続でき、高度なセキュリティを担保できる閉域接続を合わせて提供する。専用SIMを月額330円〜で提供することで現場から安全にデータを収集できるようにしている。

 3つ目が、デバイス管理機能を備えている点だ。IoT活用が進めば、工場などではセンサーや連携デバイスの数は数万台に及ぶ場合も生まれる。こうしたデバイスを1台1台設定したり変更したりすると大きな負担を生み、現実的ではない。「Power IoT Platform」では、これらを遠隔で管理する機能を備えているため、バージョンアップやコンテンツ配信やポリシー変更などを行うことができる。

 4つ目が、クラウド上のさまざまなパーツを組み合わせて、ワンストップサービスを提供できるという点だ。アジュールパワーの「Power IoT Platform」は、AzureをPaaS(Platform as a Service)として活用しているため、Azureで活用できるさまざまなアプリケーションをパーツとして組み合わせて活用できる。これらを「Power IoT Platform」を通じて、ワンストップで提供でき、決済なども非常に簡単だとする。

photo 「Power IoT Platform」のサービスラインアップ(クリックで拡大)出典:アジュールパワー

アジュールパワーがIoT基盤で持つ強み

 橋口氏は「とにかく簡単に、早く、安く、IoT基盤を活用できるのが特徴です」と強調する。これらが可能となる理由としては、共通部分の標準化を進めていることがあると強調する。「AzureとPower IoT Platformの標準部分で約7割をカバーし、残りの3割を顧客の状況に合わせてカスタム開発する。これにより、顧客の環境に最適なソリューションを構築できる一方で、価格は安く、短期間で導入することが可能になる」と他のIoT基盤に対する強みを述べている。

 さらに、これらのシンプル化が可能な理由として、マイクロソフトが提供するAzureとWindowsの存在を挙げる。「そもそもAzureのPaaS機能が充実しており、数多くのソリューションが組み合わせだけで実現できるという点が大きい。一方でデータ連携の点で考えても、数多くの業務用端末がWindowsベースで、開発されている状況がある。データ連携を実現する仕組みを組み込むことも簡単で、エッジからクラウドまでの広範囲でのサポートが得られる点は大きい」と橋口氏はマイクロソフトとのパートナーシップが大きな価値をもたらしている点を強調する。

 例えば、Azureとの連携では、「Power IoT Platform」のデバイス管理などを行う「Power Monitor」と、Azureの「Power BI」をシームレスに連携可能としており、一元的に吸い上げたデータを、「Power BI」の豊富な機能を活用してさまざまなビジュアル化して表示することが可能である。これらを設定に苦労することなどなく簡単に実現できるという点が特徴である。

photo マイクロソフトのIoT向けPaaS群(クリックで拡大)出典:アジュールパワー

 これらの仕組みを活用した事例の1つとして、会議室を有効活用するニーズへの採用事例がある。ドアの開閉センサーと赤外線センサー(人感センサー)、そして空気環境モニターを採用し、会議室での人検知や空気環境の測定を行う。それぞれのセンサーから送られる情報を「Power IoT Platform」の「Power Monitor」で収集、管理し、会議室の状況を遠隔地にいてもリアルタイムに確認できるよう可視化している。また、Office365のスケジューラーと連携することで、会議室の予約は予約者とひもづけられ、予約者ごとの利用率の集計なども可能とした。利用率や空気環境の集計は「Power BI」でグラフ化することで、「空予約」の件数などを明示化できる。これらにより、効率的な会議室利用を実現した。

 この事例は会議室であるが、同様の仕組みは工場内でも活用できる。特定スペースの人検知や人数検知、工場内の空気環境管理にも利用可能だ。危険箇所への立ち入り防止や、工場内環境の改善に利用することができる。

photo 「Power BI」を利用した会議室の利用状況の画面イメージ(クリックで拡大)出典:アジュールパワー

 実際に、工場用として、PLCに閉域SIMを設置し、PLCが管理する工場内機器の稼働情報などをクラウドに吸い上げて、稼働情報や検査データなどを分析するソリューションなども提案しているという。さらに、台湾メーカーのアドバンテックとの提携により、機器に設置されている信号灯のステータスをそのまま送る、シンプルな稼働情報見える化ソリューションを実現。橋口氏は「繰り返しになるが、簡単に早く価値を得られるという点が特徴だ」と胸を張る。

 また、アジュールパワーでは、顧客のニーズで得られたソリューションの水平展開なども進めており、ある程度の形ができた「位置情報追跡ソリューション」や「会議室活用ソリューション」などもパッケージとして提供している。「ある程度のまとまった形をパッケージソリューション化し、それをベースにさらに、複雑な価値を実現できるような提案につなげていく」と橋口氏は述べている。

まずはBIから開始、そしてAIへ

 将来的には、これらで得られたデータをAIなどを使い、さらに幅広い形で活用していくことを想定している。「カメラとの連動や、音声情報の活用など、AIで行えることは格段に広がります。映像や音声のデータは、以前から取得可能でしたが、処理能力などの問題であまり活用していませんでした。そうしたデータが数多く存在します。AI関連技術を今後活用することで、新たな価値を作ることができます。既にユーザー企業からはAI活用についての関心は非常に高く、そのニーズに応えたいと考えています」と橋口氏は語る。そのため、基盤として活用するAzureとの親和性を生かし、「Microsoft Cognitive Services」を活用した新たなソリューション開発なども進めていく方針だとしている。

photo アジュールパワー 取締役 CTOの成田秀展氏

 一方でアジュールパワー 取締役 CTOの成田秀展氏は「AIへの関心は高いものの、ユーザーの話をよく聞いてみると、その大半がBIでも対応できるものです。0か1の情報がほとんどで、BIの普及だけで考えてもまだまだ市場は存在していると考えます。まずはBIによりIoTによるデータ活用の裾野を広げていくことが当面の取り組みとなります」と述べている。

 先述したように、製造業にとって、IoTでデータを取得、蓄積を行う領域には、付加価値は存在しない。データを分析し活用するところにこそ新たな価値がある。そうして考えた場合、2つのプラットフォームを積み重ねて標準領域を増やし、より安く、より早く、より簡単に、を実現した、Azureと「Power IoT Platform」の組み合わせは、製造業がIoTで価値を得るための最短コースとしてちょうどよいといえるだろう。

photo アジュールパワーの橋口氏(左)と成田氏(右)

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2019年3月4日