今回、マルハニチロと共同で構築した新生産管理システムについても、工場の生産管理部門の引き合いから始まった案件となっている。マルハニチロでは、直営7工場の業務プロセスが統一されておらず、生産管理業務は紙やホワイトボード、Excelへの入力など手作業で行われていた。マルハニチロは、過去に発生したトラブル実績を基に、対応する業務を整理。その結果、「生産計画立案と製造指図」「原料購買」「在庫管理」「製造実行」「品質管理」「損益管理」「設備管理」という7つの業務でトラブルが発生していたことが分かった。
これらの課題を解決するスマートファクトリーでは「業務の標準化」「生産現場のデジタル化」「ミス防止の仕組み」「業務の見える化」などを図った。2015年度から取り組みを始め、2017年には直営7工場のデータを一元管理したデータ統合管理基盤である新生産管理システムを構築することができた。
新生産管理システムの構成としては、AvantStageの中核となるソフトウェアからは、生産管理でmcframe、生産スケジューラでAsprovaを採用。製造実行の「QITEC」、設備管理の「AMISYS」は三鈴エリーがキヤノンITSと共に導入している。直営7工場の製造、購買、品質、原価、設備データについては全て、オンプレミスのデータセンターで一元管理している(同データセンターはマルハニチロの情報システム子会社であるCACマルハニチロシステムズが構築した)。
今後マルハニチロは、新生産管理システムをグループ全体に展開するとともに、グループ統合基盤に拡張していく方針である。また、キヤノンITSは、需要予測/需給計画に用いるFOREMASTについても別途の導入を提案している。
また、スマートファクトリーとなると単なる見える化にとどまらない、IoTやAIを活用した生産システムの高度化やや自動化も視野に入ってくる。マルハニチロが新生産管理システムを導入した直営7工場でも、IoTやAIの活用を検討しているという。キヤノンITSも、AvantStageの提案にIoTやAIの活用をからめていきたい考えだ。
なお、食品業界向けのAvantStageの事業展開は、国内で数百社はある売上規模300億円以上の企業や事業部門が対象。ボリューム層とする売上規模1000億円以上についても40〜50社あるとしている。
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