FabFoundryの創業者・関信浩氏が米国東海岸のハードウェア・スタートアップ企業の動向を探る本連載。第2回は、従来プリント基板試作の発注時、人の目によって行われてきた「エラーチェック」や「見積もり」の作業を自動化し、収益化を目指すNY発のスタートアップ「PCB:NG」を紹介する。
製造業、特にIoT製品を開発している企業にとって、プリント基板(PCB)の試作は欠かせません。プリント基板の試作は一般的に、まずプリント基板の実装データをオンラインで実装業者に渡し、その後、業者から届いた見積もりの内容を確認してから発注します。今回ご紹介する「PCB:NG」は、発注までのプロセスをオンラインで自動化するシステムを構築し、人手による見積もり作業をなくしました。オンライン上で瞬時に、「基板データのエラーチェック(実装可否)」「基板実装・部品の見積もり」を行い、最終的なコストを算出します。
基板実装を請け負うサービスや、実装のエラーチェックをするPCB設計ツールなどは、既にいろいろと存在しています。ある日本のスタートアップは「PCB設計ソフトである程度のエラーチェックや部品の見積もりをした後、複数のサービス業者に基板実装や部品の見積もりを取って最終的なコストを抑えている」と説明します。
一般的に日本ではスピードよりもコストを重視する傾向にあります。しかし新製品を開発する現場において、試作スピードは本来とても大切な要素です。「作る→改善」のスピードを縮められれば、競合よりも早く市場に製品を出せる可能性があるからです。
PCB:NGのサービスは、既に存在する複数のツールやサービスの間に存在する「人力」の部分を、徹底的に自動化することで利便性を向上し、試作プロセスにおける「効率性改善」に焦点を当てていることが特徴です。実際に大手製造業のR&D(研究開発)部門で、さまざまな新プロジェクトを担う若手エンジニアは、「PCBの実装も含めてオンラインだけで完結するサービスは魅力的です。値段は手頃で、少量から頼めるところが使いやすそうです」と評価しています。
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