1つ目がオペレーション面での連携の工夫である。2社間の連携で最も重要なのが新幹線のダイヤのすり合わせである。しかし、各地域の在来線の運行ダイヤとの接続や停車駅、運行本数などの違いをすり合わせる必要があるため、新幹線ダイヤだけを勝手に作るわけにはいかない。そのため、北陸新幹線の延伸では基本的には、ダイヤなどについてもそれぞれが個別に策定し、これらをシステム上ですりあわせて調整するという仕組みを構築している。
具体的には、JR東日本とJR西日本それぞれで、管内の基本ダイヤを作成した上で、境界駅(分界)での時刻や、使用番線、通過および停車区分などの各種情報が、合致していることをシステムでチェックする。その後、チェックでエラーとなった項目をダイヤ作成者が解消することにより、東京から金沢までの通しのダイヤとして合成するという仕組みを構築している。
ダイヤの策定や調整で重要なのは、運行異常時についての対応である。基本的には既存のシステムやオペレーションを維持しているため、指令所もそれぞれが保持している。そのため、通常の運行ダイヤを気象条件や運行トラブルなどにより突然変更しなければならない場合、変更情報は変更を行う会社だけでなくもう一方の会社にも通告(通知)する。これにより、両社指令所間の口頭による打ち合わせに加え、システムにより相互に確認を行うことで、直通列車に関するダイヤ変更手配を確実なものとしている。さらに、駅や車両基地、販売関係者や清掃関係者に加え、旅客へのアナウンスなど、多岐にわたる情報伝達が必要となる。
恩田氏は「基本的にはそれぞれの従来のオペレーションを妨げずにそのまま運用できる仕組みを維持することを当初から目標としていた。異常時なども含めてなるべくオペレーションを変えずに運用を支援できるシステムづくりを進めた。基本的にはダイヤ変更があったときでも、影響がなければ他方の指令には送らない。こうした仕組みが自動化できている」と述べている。
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