IoT時代を迎えスマート工場の「足回り」をどう構築するのか製造業IoT

インダストリー4.0などIoTを活用したスマート工場実現に向けた取り組みが加速している。しかし、工場内のシステムはさまざまな異種環境が存在しており、これらを「どうつなげていくのか」が課題となっている。スマート工場の「足回り」ともいうべき、これらの環境構築にどう取り組んでいくべきなのだろうか。

» 2016年12月12日 10時00分 公開
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IoTを活用したスマート工場の「足回り」としての役割

 ドイツ連邦政府が推進する「インダストリー4.0」や米国の大手企業が推進する「インダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)」など、全世界的なスマートファクトリー化の動きが加速している。

photo 日立産業制御ソリューションズ 産業ソリューション事業部 担当本部長の日向一弘氏

 「IoT(モノのインターネット)により、設備から資源管理のサーバが連携したり、サプライチェーンを構成する関連企業の情報を接続できたり、サプライチェーン全体の最適化が可能になっています。さらに、ビッグデータ分析や人工知能(AI)関連技術により、機械が自律的に最適な動作を実現できる環境が見えてきました」と日立産業制御ソリューションズ 産業ソリューション事業部 担当本部長の日向一弘氏は述べている。

 これらを実現するのに必須となっているのがネットワーク接続とデータ連携である。ただ、多くの工場や生産設備では、そもそもネットワーク接続されていないケースも多く、情報システムへの接続までに複数段の階層があり、データ連携が複雑な状況も生まれている。そこで、製造設備をより容易にネットワーク接続できる仕組みとして注目を集めているのが、産業用コントローラーのIoT対応である。

オープン性とネットワーク対応を担保する産業用コントローラー

 工場内の各種システムを「つなぐ」ということを考えた場合、重要になるのは「オープン性」と「ネットワーク対応」である。IoT対応の産業用PCはこれらの両方を1台で実現できる点が特徴だ。従来は、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)で得た情報を一般的なWindows PCなどに一時的にためておき、データフォーマットを変換してクラウドに送るような手間が必要だったが、IoT対応産業用コントローラーであれば、PLCの機能とWindows PCの機能を1台で実現可能となる。

 こうした状況の中で、スマート工場の「足回り」として産業用コントローラーへの取り組みを強化しているのが、日立産業制御ソリューションズだ。同社は既にIoT(モノのインターネット)対応の産業用コントローラー「HF-W/IoT」シリーズを展開しているが、新たに産業機械や設備への組み込みを容易にした「HF-W100E/IoT」を追加すると発表した。PLC言語対応/CNC搭載/C言語対応の3モデルを、2016年12月下旬から順次発売する。

photo IoT対応産業用コントローラー「HF-W100E/IoT」(クリックで拡大)出典:日立産業制御ソリューションズ

EtherCATやOPCサーバに対応

 「HF-W100E/IoT」は、熱設計や本体の部品配置を見直すことで、自然空冷を可能にし、これによりファンレス化と小型化、耐環境性の向上を実現した。A5サイズの小さい本体に4コアプロセッサを内蔵し、3チャンネルのLANポート、2画面のディスプレイポート、5チャンネルのUSBポートなど、豊富なインタフェースを搭載。周辺温度50度の環境下でも動作が可能な他、耐振動性についても従来比で10倍の強度となっている。

 さらに、Windowsとリアルタイム環境を共存させ、リアルタイム拡張した上にソフトウェアPLCを搭載(図1)することでWindows処理と設備機器に対するリアルタイム制御処理の並列実行を実現。Windowsと制御処理のCPUコアを分散させているので、制御処理はWindows側の負荷の影響を受けずにリアルタイム性を確保できるという。

photo <図1>IoT対応産業用コントローラーによるオープン化の価値(クリックで拡大)出典:日立産業制御ソリューションズ

 上位と下位の情報連携性も強化した。オープンで高速性が特徴であるフィールドバス「EtherCAT」に対応。EtherCATは半導体製造装置分野や自動車製造関連分野で採用が大きく広がっている規格である。EtherCATに対応することで、これらの業界において多くのデータの取得や処理を実現可能としている。さらに、業界標準となっている「OPCサーバ」を内蔵しており、設備機器から取集したデータを上位の情報システムやクラウドのリクエストによって受け渡すことを可能としている。

 オープンで多様な開発環境も用意する。従来シリーズと同様、国際標準規格のIEC61131-3に準拠したPLC 5言語の他、組み込み設計向けのC言語にも対応しており、高い汎用性を備えていることが特徴だ。さらに、ロボット制御で重要なソフトモーションについては、多彩なライブラリやCNC向けのGコードなどもサポートしている。

 対応OSについては、Windows Embedded Standard 7とWindows 10 IoT Enterprise(いずれも64bit、MUI版)のどちらも選択可能。海外安全規格のUL/CSA/CE/KC/CCC/BSMIを取得し、グローバル展開にも対応する。

 日立産業制御ソリューションズ 産業ソリューション事業部 情報制御機器開発部 担当部長の高谷壮一氏は「汎用OSを採用した最大の利点であるさまざまな開発に対応できることが特徴です。さらに、半導体製造分野や自動車製造分野、産業用ロボットとの複合化などによりニーズが高まっているEtherCAT対応としたことで、こうした業界のニーズに応えました。新製品を装置に採用することで、これらの装置のIoT対応を容易に実現可能となる他、さまざまな環境への適応も容易に行えるようになります」と述べている。

 また、日立産業制御ソリューションズ 産業ソリューション事業部 情報制御機器開発部 開発第一グループ 主任技師の仲野谷仁茂氏は「PLCとWindows PCの一体化により、生産設備とクラウドなどのIoTプラットフォームをシームレスに接続し、生産プロセスの最適化や業務効率の向上に貢献したいと考えます」と語っている。

日本の製造業のスマート工場化を推進

 同社を含む日立グループでは、産業向けIoTへの取り組みとしてIoTプラットフォーム「Lumada」の展開を進めている。「Lumada」は、データの統合や分析、シミュレーションなどのソフトウェア技術で構成される汎用性の高いIoTプラットフォームである。情報基盤などのITだけでなく、幅広い事業を抱える日立グループのノウハウを含めた形で分析などを行うことができる点が特徴だ。新たに投入するIoT対応産業用コントローラーは、この「Lumada」と生産現場を結ぶインタフェースの役割を担っており、サイバーフィジカルシステムを実現するカギを握る。IoT対応産業用コントローラーが生産現場から得たデータをリアルタイムに、最適な形で、IoTプラットフォームに上げ、ビッグデータ分析や機械学習の結果による最適制御を生産現場にフィードバックすることで、現場の価値をさらに向上させる(図2)。

 同社では、これらのインタフェースからIoT基盤までグループの総合力を生かして、さまざまな階層でのIoT活用を推進していく方針を示す。「IoT対応産業用コントローラーと『Lumada』との接続なども含めて、日本の製造業のIoT対応やスマートファクトリー化を推進していきます」と高谷氏は述べている。

photo <図2>IoT対応によるスマート工場とIoT対応産業用コントローラーの位置付け(クリックで拡大)出典:日立産業制御ソリューションズ

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アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2017年1月11日