田子氏 OSOROのデザインについては、鳴海製陶さまの方で、売上半減といった課題は明確であったものの、何をしてよいか分からない、といったご相談からスタートしました。そこで、さまざまなお話を聞く中で、社内の方を集めて、ワークショップを実施し、参加した社員さんの中から、日常使いの中での何らかの食器を生み出さなくてはという声が上がってきました。社員さんたちご自身からそのような思いが出てきたことで、何やらプロジェクトを始められそうな直感が働いたのです。そこで、見込み顧客のライフスタイルを分析していくと、彼らが日常使用している家電(電子レンジ、オーブン、食洗機)の全てが、鳴海製陶、が得意としているボーンチャイナでは使用できないという課題が見えてきました。そこで、現代の日常使いに適した陶器を提供しようというコンセプトでOSOROがデザインされました。
enmono宇都宮氏 ところで田子さんはどのような関わり方をされたのでしょうか。
田子氏 まずは、前述のようなコンセプトをメーカーの方から引き出して、それを取りまとめ、デザインを進めていくことをしました。外部の人間ではあるものの、完全に内部の人間として入り込んで仕事をしていました。
enmono宇都宮氏 悩みを抱えているメーカーからすると、どのように田子さんに相談すればよいのでしょうか?
田子氏 実は何を相談してよいか分からないというような、抽象的な初期状態で相談いただいた方がやりやすいと思います。相談者の方で形にしたりしてから相談されると、根本的な悩みが見えづらいからです。白紙に近い方が、一緒に根源的な悩みに向かい合えるのだと思います。
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