「矢印」を多用したプレゼン資料は本当に見やすいのか? 外国人技術者にとって“日本人が多用する矢印”は、その資料を読み解く際の妨げになるケースもあるとか。本稿を参考に、正しい矢印の使い方をマスターしよう!
根川 甚八(ねがわ じんぱち)
根川製作所 代表取締役社長。団塊世代の大田区系オヤジ技術屋。通称、甚さん
国木田良太(くにきだ りょうた)
ADO製作所 PC事業部 設計2課 勤務。甚さんいわく「イマドキな若者」。機構設計者。通称、良君
沢田恵梨香(さわだ えりか)
ADO製作所 PC事業部 設計2課に勤務する派遣社員。良君のい〜加減な設計を製図でしっかりフォローする優秀な設計アシスタント。製図専門学校卒。通称、エリカちゃん
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
国木田さん、最優秀賞おめでとうございます! 前回の「技術成果発表大会」、国木田さんのプレゼンがダントツだったわ。お祝いに「俺のフレンチ」でも行きましょうよ! もちろん、国木田さんのオ・ゴ・リ・ね。
でへぇへぇのへぇ〜っ! 僕なら、何度でも優勝してみせますよ。もともとプレゼンは得意だし! 今回はそこに甚さんのスキルを盛り込んだから、「鬼に金棒」ってとこだよ(キリッ)。
おうおう、うぬぼれんじゃねぇゾ! 少なくとも、捏造(ねつぞう)とコピペだけは止めとけよ。
そ、そんなの分かってますよ! ところで、甚さん、来週「ワークショップ」があるんですよ。
なんだそりゃ、ワクワク・ショップって? あん? 蚤(のみ)の市か? あん? ……なんだかワクワクしちまうじゃねぇかい、あん?
皆さんは「ワークショップ」をご存じでしょうか? ウィキペディアなどでは、「体験型講座」や「双方向的な学びと創造のスタイル」のように、なんだかよく分からない説明が載っています。しかし、外資系企業で使われているワークショップの意味は明確で、海外技術者との技術交流や共同開発の技術打ち合わせのことを指します。もちろん、ワークショップ中は全て英語。会議中も、ランチタイムも、そして、ディナー(会議終了後の飲み会)も英語・英語・英語です。
「グローバルで戦うには、英語を学ぼう!」――。学生であれば別ですが、今どきこのようなキャッチコピーを発信している企業は、相当な時代錯誤であり、既に手遅れ状態かもしれません。図面の表面粗さ表記に、今でも▽記号(三角記号)を使っている企業と同様、もう救いようがありません。
編集部注:以降の甚さんたちのセリフ内で、プレゼン用資料のことを「パワーポイント(パワポ)」と表現することがあります。
そうですよ。今や課長への昇格には、「TOEIC ××点以上」が絶対条件。点数が届いてなければそもそも推薦すらされませんよ。
なるほどな。そういやぁ〜、「ユニクロ」も「楽天」も課長どころか、全社員の「公用語」が英語らしいからなぁ?
釣り道具や自転車部品で有名な「シマノ」なんか、とっくの昔から公用語に英語を採用していると聞いたことがあるわ。私も早く会社を辞めたいから、英語を習い始めているのよ。
出た! また、そのセリフ。と、ところで、甚さん!! 来週のワークショップで使うパワポをチェックしてくれませんか?
なんだぁ、こりゃ! これで、ワークショップ? これでグローバル? 「矢印」だらけのパワポじゃねぇかい。オメェよぉ!! 英語の前に、日本語で勝負しろってんだぁ、あん!
外国人技術者は、日本人が作る技術資料やパワーポイント資料に“矢印”が多用されていてひどく困惑するそうです。
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